阪神藤浪晋太郎投手(26)が2軍に降格していたことが29日、明らかになった。1、2軍が振り分けられた23日以降も甲子園の1軍集合練習に参加していたが、前日28日の練習に遅刻したことが理由。3月下旬の新型コロナウイルス感染から回復し、5月24日のシート打撃の快投で評価を上げていた状況でまさかの失態。チームのムードに水を差す形となり、開幕ローテ滑り込みも絶望的となった。

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ようやく紅白戦を再開できた直後だというのに、矢野監督の口ぶりは終盤、限りなく重たくなった。1軍集合練習が行われた甲子園に、いるべき19番が見当たらない。「藤浪は?」。代表取材者から質問が飛ぶと、慎重に言葉を選びながら2軍降格の事実を明かした。

「練習を遅刻してきたので。こういうコロナという状況で、新たにみんなで頑張ろうというところで、練習に遅れてくるのはこちらとしてもすごく残念やし、全体の信頼を失うようなことだったので。ここにいてみんな同じ気持ちでやっていくのが難しいという判断で、下にいってもらった」

藤浪が1軍練習に遅刻したのは前日28日。1度は甲子園に姿を見せたが、指揮官とも話し合った結果、練習参加は許されなかった。矢野監督は「本人も、もちろん反省している。人なんでミスもあるし、失敗というか良くないこともある」と前置きした上で「(遅刻は)これが初めてではないので」とも説明。厳しく処罰せざるを得なかった背景も静かに明かした。

藤浪は3月中旬に大人数での会食に参加した後、同月下旬に新型コロナウイルス感染が判明して入院。「非常に軽率でした」と猛省の再スタートを切っていた。今月24日にはシート打撃で67日ぶりの実戦形式マウンドに上がり、打者5人を相手に4奪三振。入院と退院後の自宅待機による調整遅れを感じさせない快投を披露し、周囲をひと安心させたばかりだった。

この日は鳴尾浜の2軍集合練習に合流。指揮官は「あいつ自身が変わらないとダメな部分もある。そのための時間にしてもらえたら。(2軍の)時間がどれぐらいというのはオレにも分からない」と無期限降格も示唆した。開幕ローテ入りはもう絶望的。まずは地道に周囲の信頼を取り戻していくしかない。【佐井陽介】