西武の後藤高志オーナー(71)が、チームに直接訓示した。30日、埼玉・所沢のメットライフドームを訪れた。

マスク姿で、一定の距離を保った円陣に向かって約5分間、力強い言葉で逆境下での開幕に向けた思いを込めた。

「3カ月遅れではあったけど、6月19日からペナントレースが開始する。ぜひベストコンディションで試合に臨んでもらいたい。それから、世の中、新型コロナウイルスに対して自粛というのが1つのキーワードになっているが、ライオンズの選手諸君には、自粛ではなくて、はつらつとしたプレーでライオンズのファン、それから日本全体に元気を注入してもらいたい」

6月19日に、いよいよ無観客で開幕する。同2日からは練習試合が開始。プロ野球がようやく帰ってくる。再スタートを前に、球場を訪れ直接チームにゲキを飛ばすことにこだわった。「今日はまだ5月だけど、紅白戦も昨日から始まっているし、そういう意味では選手諸君に直接僕の思いというのを話したかった」。観客不在で、球団経営にも大きな影響を及ぼす状況。それでも、メディアの向こう側にいるファンを強く意識する。

「当面無観客試合ということだけど、しかしながら、全試合をテレビ放映するわけだから、あるいはラジオでも中継してくれるわけだから。残念ながら当面ファンの方はいらっしゃれないが、向こう側にはいっぱいのファンの方が楽しみにされている。たぶん、例年以上にメディアを通じて観戦するファンというのは多くなると思う。テレビは特に、コロナ関連や、再放送の番組ばかりだから。そういう中で生の、ライブのライオンズの試合を見たいというファンは多いわけで、ファンを増やす、にわかファンをコアなファンにするチャンスでもある。ということも意識して、はつらつとしたプレーをしてもらいたい」

訓示の後は、改修工事を行い、新しく姿を変えようとしているメットライフドームをぐるりと歩き、見て回った。観客はいないが、自然をコンセプトにした3色の緑を使ったグラデーションカラーで彩られた客席を見上げた。

「今年は本当に、球団経営としても、経験したことのない未曽有の状況だから、まずは6月19日にペナントレースがスタートできるということ。まずそこのところの意義が高いと思っている。それで、今選手諸君には言ったけども、西武グループとして、埼玉西武ライオンズを全面的にサポートしていく。選手諸君はとにかくプレーに集中して、リーグ3連覇、それから日本一をしっかり目指してほしい。球団経営はそういう中でやるべきこと、球団のフロントの方がしっかりやってくれていると思うから、そういう中でいろいろなアイデアもこれから出てくるでしょう。期待しています」