選手が地域で働きながらプレーする野球の独立リーグ、北海道ベースボールリーグ(HBL)が30日、美唄市営球場で開幕した。レラハンクス富良野BCと美唄ブラックダイヤモンズの2チームでの船出。本来は2日の開幕予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、この日まで延期。北海道内では今季最初の野球の公式戦となった。試合は富良野が9-4で美唄を下した。

難しい環境の中、何とか一歩踏み出した。無観客開催で、ベンチ内の選手はマスク着用。関係者もマスク着用、検温を受け入場する厳重な管理の中、始まった。ボランティアを含む計30人のスタッフの協力、さらに選手全員でグラウンド整備と、手作りのリーグ運営に出合祐太代表(36)は「街の皆さまに動いてもらってここまでこられた。感慨深い」と感謝した。

これまで注目を浴びたことがない選手たちが、将来のプロ入りを目指し集まった。この日、先発した富良野の輪田涼(23=釧路公立大)は昨年、四国IL、BCリーグのトライアウトを受けたが夢かなわず、HBL入りした。午前中は富良野市内の老人ホームの調理補助。午後から同市内で廃校となった中学校のグラウンドでチーム練習に臨む。実戦形式の練習はできず、ほぼぶっつけ本番で開幕戦に臨み6回被安打4、3失点とまずまずの内容。「試合ができることがうれしい。力をつけて将来、NPBに行けるような選手になれたら」と前を向いた。

今季は美唄市営、芦別市民、石狩市青葉公園、砂川市営の4球場で73試合を予定。68戦目までは勝敗に関係なく実戦を積むことを重視し、ラスト5戦を優勝決定戦とする。HBLは、日本球界復帰を目指す新庄剛志(48)にオファーを出し断られたが、出合代表は来季に向け「他に名前のある選手を呼べないか考えている」と新たな一手を考えている。【永野高輔】

○…富良野の伊藤匠右翼手(22)が3安打3打点と気を吐いた。18年はBCリーグ新潟に在籍も1年で戦力外。昨年はクラブチームのゴールドジムに所属したが、仕事との両立に苦しみHBL入りした。弟は今季、酒田南から巨人入りした海斗外野手(19)。弟の用具も借りながらの再挑戦に「野球ができる最後のチャンスと思っている。やりきりたい」と気を引き締めた。