なんだかフワフワした1発だった。練習再開後初の紅白戦、8回2死でロッテ井上晴哉内野手(30)は中村稔の直球を左翼席へ運んだ。

「ホームランてこんな感じだったかな?」。何せ80日ぶりの1軍打席。自分の感覚に疑問を覚えながらダイヤモンドを回った。

ベンチに戻っても“いつも”と違う。新型コロナ感染予防のため、選手同士が触れ合わないエアハイタッチで迎えられた。「違和感でしかない。前までできていたハイタッチ。ありがたみを感じました」。開幕後も当面は無観客となる。せめて中継画面の向こう側のファンに何かできないか-。そのまま右翼スタンドに体を向けると、相撲の土俵入りのようなポーズを披露した。

オフに出演したテレビ番組でバナナマン日村勇紀、ネプチューン堀内健両人が考案してくれたパフォーマンス。しかしこれだけでは西武山川の「どすこい」もほうふつとさせる。井口監督が「人(他人)のをやっている」と言ったくらいだ。根がまじめなアジャは「至らない点がないように。変わったことができれば」。開幕までに“らしさ”を取り入れ、打棒とともにブラッシュアップしていく。

4番として2年連続24本塁打を記録し、今季は40本を掲げていた。3カ月遅れの開幕で試合数が減ったが、自粛期間に野球への意欲は強まった。「野球しかないんだ、野球を頑張ろうと思った。30本塁打以上。40本を目指していかないと、30本いかないと思うので」。40を目標に据えたまま、自己最多30発超えでのシーズン完走へ気を引き締めた。【鎌田良美】