精密機械の状態が心配だ…。阪神の新助っ人ジョー・ガンケル投手(28)が2本の特大満塁本塁打を浴び、4回8失点と大炎上した。広島戦に先発して初回は5番メヒアに、3回は7番堂林に浴びた。公式戦ではチームで1度も記録していない1試合2本の満弾被弾で、開幕前最後のマウンドを降板。ローテの一角に当確していた右腕が、大きな不安を残した。

   ◇   ◇   ◇

虎党が目を覆いたくなるようなアーチが2本、広島の夜空に懸かった。普段は紳士的で穏やかなガンケルも声を荒らげ、珍しくフラストレーションをあらわにする場面があった。矢野監督は「どうしてもコントロールが良いだけに、ストライクが固まってしまう。こういう形になった時には(悪いところが)出てくるのかなという感じには思う」と首をかしげた。ローテ入りを確実にしている右腕が、開幕前最後の1軍戦登板で大きな不安を残した。

立ち上がりから広島打線につかまった。初回、先頭ピレラを見逃し三振に切るも2番菊池涼から3連打を浴びて満塁のピンチ。ここで再開後の練習試合で4本塁打と好調5番メヒアに手痛い1発を浴びた。フルカウントから甘く真ん中に入った137キロスライダーを完璧に捉えられ“1本目”のグランドスラムを左中間席後方のコンコースまで運ばれた。プレーボールから1死を取っただけで、いきなり4失点。前回3日の広島戦(甲子園)では4回2安打無失点と好投したが、1週間後に敵地での再戦で別人と化した。

悲劇は続く。2回を3者凡退で抑えるも3回。3A4シーズンで与四球率1・19で「精密機械」の異名を持つガンケルが制球を乱し、二塁打と2四球で再び満塁のピンチ。7番堂林への初球だった。カウントを取りにいった143キロツーシームが高めに浮き、再び完璧に捉えられた。“2本目”も同じく左翼席後方のコンコースまで運ばれた。4回88球で8安打8失点、3四球の大乱調。公式戦1試合に2本の満塁弾を浴びたのは両リーグで5人いるが、阪神はいない。練習試合ながら、不名誉な記録でマウンドを降りた。

ガンケルは開幕2カード目第2戦となる24日ヤクルト戦(神宮)の先発が予想されていた。しかし、矢野監督はローテの見極めについては「(ガルシアら)他との兼ね合いもある。最後まで見ていこうかなと思っています」と話すにとどめた。開幕まで登板間隔が空くため、福原投手コーチは助っ人右腕を次週の2軍戦に「最終テスト」として登板させると明言した。外国人枠の兼ね合いもあることから、内容次第ではローテ陥落の可能性もゼロではない。精密機械のメンテナンスが急がれる。【奥田隼人】