虎の2軍が熱いで! 阪神ドラフト3位の及川雅貴投手(19)が公式戦デビューで初勝利を飾った。

25日のウエスタン・リーグ、オリックス戦(甲子園)で公式戦初登板。スライダーとキレのある直球を武器に2回をパーフェクト。横浜高でセンバツ出場した昨春以来となる甲子園で実力の片りんをのぞかせた。24日には同1位の西純矢がプロ初勝利。高卒ルーキーが本拠地で躍動した。

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約1年ぶりとなる甲子園で、及川が成長した姿を披露した。母校野球部の先輩、遊助のデビュー曲「ひまわり」のメロディーに乗せて7回から公式戦初登板。「自分はつい何カ月か前までは高校球児で、この甲子園がすべての目標の場だった。そういった意味で甲子園で投げたのは緊張しました」。プロの立場で初めて立つ聖地のマウンドをかみしめた。

初登板とは思えない投げっぷりだった。150キロ前後の直球を中心に、キレのあるスライダーを交えて、7回は3者凡退。「自分の投球の軸はストレートとスライダー」。8回にはカーブも加えて、あっさり3人で片づけた。「前回(登板)からスライダーが抜け気味。反省を生かして投球するという目標だったので悔しさはあります」。反省を口にしたが、2回をパーフェクトに抑える会心の投球。同じルーキー井上の決勝打で初勝利も舞い込み、試合後は笑顔でウイニングボールを手に取った。

ライバルの好投が刺激になった。24日は同じルーキーの西純がプロ初登板で初勝利。ネット裏で試合のスコアをつけていた及川は、右腕の投球を目に焼き付けていた。「本当にここ最近で一番いいピッチングしてるなと分かっていた」。練習でのキャッチボールはいつも西純と組む。「高校四天王」と呼ばれた2人。「負けないようにやるのが大事なことですし、お互いそういう気持ちがあればどんどん高いところにいけると思う。これからもいいライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)しあっていきたい」。左腕も負けじと腕を振った。

3年春のセンバツでは、1回戦で明豊に敗退。及川は4回5失点で敗戦投手になった。悔しさを胸に、甲子園でリベンジ投球に成功。「今年の目標は1軍の試合に出て、初勝利することです」と言い切った。次に甲子園のマウンドに立つときは1軍で。西純だけじゃない。左腕の進化が楽しみだ。【只松憲】

▽阪神平田2軍監督(及川について)「公式戦初登板にしては、四球もゼロでしょ? 落ち着いて投げたほうよ。まだまだこんなもんじゃない。もっともっとスライダーのキレもコントロールもいいし。ちょっとくらい緊張してたことも差し引いても、まだまだこんなもんじゃないね」