ソフトバンクの助っ人右腕、先発リック・バンデンハーク投手が「山賊打線」の前に仁王立ちだ。198センチの長身から角度ある直球に加え、落差とブレーキの効いた自慢のナックルカーブを中心に山賊たちを手玉に取った。

立ち上がりから力で押した。先頭スパンジェンバーグを空振り三振に切り、あっさり3者凡退。2回に1四球を許したものの、7回まで7三振を奪い無安打無得点に封じ込んだ。「ノーヒット? もちろん、知っていた。でも、意識はしていなかった。西武打線だから1球1球、1人1人、1つのアウトを取っていくことだけを考えていた」。8回、先頭山川に初安打となる二塁内野安打を許すと、1死後、中村にも左中間二塁打。モイネロの救援を仰いでマウンドを降りたが、チームを勝率5割に引き戻す好投だった。

6年目のバンデンハークは新たな気持ちでシーズンに臨んでいる。昨秋に第1子となる息子ライアン君が誕生。昨シーズンは故障禍もあって来日最低の2勝に終わっただけに、雪辱を誓っていた。パパになって初勝利。「スペシャルな1勝になった」。ズボンのポケットに忍ばせたウイニングボールは博多で待つ息子へ、頼もしいパパからのプレゼントだ。【佐竹英治】