広島堂林翔太内野手(28)が約3年ぶり本塁打となる特大2ランを放った。7番一塁で出場。0-0の2回2死二塁で巨人桜井のチェンジアップを捉え、左翼席看板付近までかっ飛ばした。17年5月31日西武戦以来、1121日ぶりの1発。試合はシーソーゲームの末、今季初の引き分けとなったが、チームに明るい光を届ける豪快弾となった。

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打球を見上げ、堂林はゆっくりと歩き出した。2回2死二塁、フルカウントと粘った中での7球目。堂林は桜井の真ん中に入ったチェンジアップを迷わず強振した。打球はグングン伸び、左翼スタンドの看板付近を直撃する特大の先制2ランとなった。「無我夢中でした。追い込まれていましたし、チャンスでしたし、つなごうという気持ちだった。最高の結果が出ました」。17年5月31日以来、約3年ぶり、1121日ぶりの1発に、ベンチのナインから手荒い祝福を受けた。

開幕から絶好調だ。今季は14年以来6年ぶりの開幕スタメンを勝ち取った。開幕戦こそ無安打に終わったが、20日のDeNA戦(横浜)では4安打。この日は7回先頭から一時逆転の口火を切る中前打を放ち、5試合の出場で3度のマルチ安打、打率3割8分1厘と高打率を残している。

覚悟のオフを過ごした。昨季は1軍戦に出場し始めてから自己最少の28試合の出場に終わった。巻き返しを図るべく、オフには3学年後輩の鈴木誠の自主トレに志願参加。スイング時に上体が前に突っ込んでいることを指摘され、「右足に力を感じながら、真っすぐ立つ」という主砲の体重移動の考え方についても助言をもらった。「『鈴木誠也』という見本が目の前にいた。自分に何が合うかとか、誠也自身も僕のことをいろいろ考えてくれた。何か質問すれば全部返ってきますし、後輩ですけど、すごく心強かった」。進化を遂げ、大活躍につなげている。

昨季は1年間でわずか7安打だったが、今季は出場5試合で早くも8安打。佐々岡監督は「ずっと感じよくやってくれている。先発が右でも使っているし、その起用に応えてくれた」と目を細めた。まだまだ伸び盛りのプロ11年目。苦労人に覚醒の予感が漂う。【古財稜明】