阪神矢野燿大監督の執念采配が土壇場の逆転劇を呼んだ。1点ビハインドの9回2死走者なし。あと1人という場面で3番マルテが四球で出塁すると、代走に植田をコール。続く伊藤和に代打大山を送ると、その4球目に植田が盗塁成功。大山も四球を選び、一、二塁の場面を作ってサンズの劇的逆転3ランの舞台が出来上がった。

用兵がズバリ当たった。左翼には昇格したばかりのサンズを起用。4番マルテ、5番ボーア、6番サンズと今季初めて「MBS砲」を並べた。阪神の外国人3野手が同一試合に出場は15年マートン、ゴメス、ペレス以来の2組目。7試合でわずか10得点と沈黙する打線をテコ入れした。

序盤から積極的に動いた。初回には1死から2番糸原が左前打で出塁。1死一塁から糸原が3番糸井の6球目にスタートを切った。糸井は一、二塁間を抜き、ランエンドヒットに成功。一、三塁とチャンスを拡大し、続くマルテの先制犠飛、ボーアの来日初タイムリーにつなげた。

継投でも先発岩貞が本調子ではないと見て4回73球でスイッチ。能見、谷川、岩崎、スアレス、伊藤和と中継ぎ陣を惜しみなくつぎ込んだ。2点リードした9回には25日ヤクルト戦(神宮)で「あと1人」でサヨナラ弾を許した守護神藤川を投入。チームを奮い立たすように最後までタクトを振るった。

勝利の瞬間、矢野監督は右手を突き上げて満面の笑顔を浮かべた。前夜の敗戦後は「打つ方の責任は明らかだと思います」と嘆いていた指揮官。積極的な采配で連敗を「3」で食い止めた。