カープの5番は俺じゃ! 広島松山竜平外野手(34)が惜敗試合で意地を見せた。5番一塁で出場。同点の3回1死一、二塁から粘りに粘った11球目を右翼線にはじき返し、一時勝ち越しの適時二塁打を決めた。下半身のコンディション不良から6月26日に1軍復帰後、3試合連続安打。競り負けたチームは順位を3位に落としたが、存在感発揮のマルチ安打となった。

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粘って、粘って、粘り勝った。同点の3回1死一、二塁のチャンス。松山はフルカウントから4球連続ファウルで粘った11球目、ヤクルト先発スアレスの外角低めチェンジアップに、体勢を崩されながら食らいついた。右翼線を破る適時二塁打で一時勝ち越しに成功。「何とか粘って食らいついていくことができました」と振り返った。

1軍に復帰後、打線に厚みをもたらしている。下半身のコンディション不良が回復し、6月26日に1軍に昇格。今季初出場した同27日中日戦(ナゴヤドーム)では2安打1打点と奮闘した。これまで5番に座っていたメヒアの打撃不調が続く中、この日のタイムリーで3試合連続安打だ。

「すごく体も動いているし、投手の間合いもタイミングも取れている。これをしっかり続けていって、チームの力になりたい」。1点を追う8回先頭の打席で、マクガフの直球を中前へ痛烈にはじき返し、マルチ安打を記録。打率4割1分7厘とバットで好調アピールを続けている。

当初は「5番一塁」の開幕スタメン最有力だった。しかし故障でリハビリ期間が長引き「みんな調子良かったし、早くしないと居場所もなくなってしまうと思っていた」と焦りも。松山が復帰するまでの一塁は、打撃絶好調の堂林がレギュラーを獲得しつつあった。しかし経験と実績で遅れた分をカバーし、試合ごとに首脳陣の信頼を取り戻しつつある。

守備では課題を残した。初回、1死一塁から青木の三ゴロをピレラが一塁へ悪送球。後ろにそらさなければ進塁を防げたが、前で止めることができず傷口を広げてしまい、直後に先制点を許す形となった。

チームは惜しくも敗れたが、シーズン序盤に戦列復帰した男の安定した打撃力は明るい材料だ。春先から今季カープ打線のポイントに、4番鈴木誠の前後を打つ打者が挙げられていた。背番号55のベテランがポイントゲッターとして、コイの5番を担っていきそうだ。【古財稜明】