広島が、大逆転勝利をおさめた。会沢翼捕手(32)が9回、2打席連続となる満塁弾を放ち決着をつけた。

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やられたらやり返す。広島が満弾返しだ! 最大6点差から8回に5点を返し、1点を追う9回に鈴木誠が同点打。そして1死満塁だった。会沢がDeNA守護神山崎の外角ツーシームをとらえ、2打席連発となる決勝グランドスラムを右翼席へ突き刺した。3連戦初戦の24日は佐野にサヨナラ満塁弾を浴び、前日25日は連敗。7回まで平良に散発4安打に抑えられ0-6の劣勢から、終盤2イニングだけで10安打10得点。会沢1人で5打点の働きで大逆転勝利を呼び込んだ。

序盤から重荷を背負った展開だったが、3回から島内ら中継ぎ陣が1失点でバトンをつないだことで流れが傾いた。女房役の会沢は8回にパットンから今季1号を左中間席に運び、9回には山崎から決勝弾。攻守にあきらめない姿勢を示し、リーグトップのチーム打率を誇る打線が応えた。

先発はK・ジョンソンに続いてエース大瀬良が離脱。中継ぎの勝ちパターンも確立していない。打高投低も、補い合うのが広島カラー。会沢は「カープの野球がどういうものか、僕らがやっていかないといけない。それを見て若い子が勉強していけばいいと思うし、教えていかないといけないと思う。ちょっとしたことでチームの雰囲気は変わると思う」と力を込める。

前夜には田中広と「どっしり行こう」と再出発を誓い合った。そのクールな選手会が試合前の円陣で大きな声を出して盛り上げた。前任の会沢は開幕前からそばでサポートし、今季も広島の精神的支柱であり続ける。

最下位を脱出したが、一昨年の3連覇チームが順位表の底を行き来している。まだシーズンは90試合も残っている。どん底からはい上がる、20年版広島の物語はここから動きだす。【前原淳】

◆70年前の広島の大逆転勝利(50年10月29日、阪神戦=甲子園)2リーグ分立初年度に誕生し、創設1年目の広島は8回、2本の二塁打を含む6安打を集め大量7点を挙げ逆転に成功。その裏同点とされたが、延長10回に白石勝巳、岩本章の単打と山口政信の二塁打で2点を奪い、6点差を覆して逆転勝ちを収めた。