2年連続盗塁王へ、阪神近本光司外野手(25)が気を吐いた。前夜の20点大勝ムードのまま躍動したのは1回だ。プレーボール直後、原の外角速球を逆らわずに押し込むと打球は左中間へ。中堅山崎が捕り切れず、二塁打で出塁した。1死後、サンズの初球で三塁に滑り込んだ。足攻めが効いて、大山の遊撃への適時内野安打で先制の生還だ。

だが、終わってみれば打線が沈黙して「スミ1」の敗戦。それでも、矢野監督は機動力を使った1回の攻撃を「それはウチの持ち味。行けるときはどんどんチャレンジするし、今日だけのことじゃない」と評価した。

4・5差で追う巨人との首位争いに食い込む上で、昨季盗塁王に輝いた近本の脚力は欠かせない。この日は今季初の三盗で区切りの10盗塁目。リーグトップを快走中だ。開幕から不振でベンチを温める日も続いたが、昨季と変わらず、盗塁を量産している。節目の10個目到達は昨季と同じ32試合目だが、今年は不調で11安打も少ない。11四死球は同数だが、塁に立つ機会が激減してもスキを見て走っている。シーズン120試合換算では37盗塁ペース。「武器である足で足を生かしたプレーを見せたい。盗塁数は昨年以上が目標」との開幕前の宣言通り、143試合制だった昨年の36盗塁を上回る計算で意地が光る。

前日28日は塁上で大暴れして、球団最多タイの1試合5得点をマークした。26日の中日戦で今季初の4安打を放つなど調子は上向きだが、この日は2回以降の満塁機を含む4打席で凡退。勝機をたぐり寄せられず、悔しさいっぱいに引き揚げた。井上打撃コーチも「そういう場面がいっぱいあるのがレギュラー」と糧にすることを期待する。主力の宿命を背負って、2年目のジンクスに立ち向かう。