甲子園を制した左右の剛腕が、神宮でド迫力の投手戦を演じた。龍谷大平安(京都)の2年生エースで、14年センバツVのヤクルト高橋奎二投手(23)と、大阪桐蔭3年時の12年に春夏連覇を達成した、阪神藤浪晋太郎投手(26)。

ともに150キロオーバーの直球で押し込み、終盤までがっぷり四つで譲らなかった。軍配は、テレビ中継のスピードガンで最速155キロをマークした高橋。8回無失点で今季初勝利を挙げた。

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108球目に全力を込めた。ヤクルト高橋は8回1死満塁、151キロで阪神陽川を二ゴロ併殺に仕留めた。ガッツポーズ。「最後の力を振り絞った。もうこの回だけやなと思って。思い切って腕振っていきました」。プロ初完投、初完封を目前にして降りたが、自己最長の8回を投げきって待望の今季初勝利を挙げた。

目に見えて進化した。一度は開幕ローテに内定したものの、不振で直前の2軍落ち。心もフォームも変えた。左のライアンと呼ばれた、右膝を伸ばして高く放り上げる形をやめた。膝を曲げたまま上げて投げるようにして制球が安定。さらに三振を狙わなくなった。「狙って、力んで変化球が外れていた。2ストライクからゴロを打たそう」と意識付け。左打者には外の直球、右打者にはチェンジアップを沈めた。フルカウントが減り、自然と投球回はのびた。

投げ合ったのは中3の時、甲子園優勝投手として見ていた藤浪だ。「特に意識はない。でも監督から、相手先発より早く降りるなと言われたので」。より長く、マウンドを守った。【鎌田良美】