中日大野雄大投手(31)が、今季初勝利を挙げた。ヤクルト打線を9回5安打3失点に抑え、今季7戦目でチーム初の完投勝利も決めた。

初回に塩見、4回に村上に被弾した。3点ビハインドでも、大野雄の気持ちは切れなかった。初回、村上の第1打席でこの日最速152キロ。9回も149キロを記録した。最後の打者村上を右邪飛に打ち取り、左手で小さく拳を握った。

昨年9月14日阪神戦でのノーヒットノーラン以来、321日ぶりの白星を手にした。お立ち台もその日以来。しかし、表情は控えめだった。今季は自身3度目の開幕投手を務めたが、2カ月間勝ち星なし。「うれしい。けど(1勝目が)遅すぎますよね。7戦で1勝3敗。借金が2つもある。うれしいけど、喜べないですね」。エースの責任感が口をついた。

先輩たちの言葉が背中を押した。前回の登板後は、ナゴヤ球場で居残り調整。「何球投げても最後までいかないとあかんやろ」。チーム投打の最年長・山井、藤井の両ベテランからハッパをかけられた。「火がつきましたね」。6回、8回の打席はチャンスで回ってきたが、首脳陣に続投を志願して打席に立ち、最後まで投げ抜いた。

「1年間勝ち越して、ローテーションを守るのが目標」。左腕エースがお立ち台で満面の笑みを取り戻したときが、チームの勢いが戻るとき。これから巻き返す。【伊東大介】

▽中日与田監督(大野雄の初勝利について) 本塁打を2本打たれたが、味方も追いついて、最後まで投げきる思いが伝わってきた試合でした。

▽中日木下拓(先発大野雄を助ける2度の盗塁阻止) しっかり準備することができていたので刺すことができたと思います。(阻止率が5割となり)数字は意識してませんが、そのプレーで投手を助けることができるのでこれからも頑張ります。リードというよりは大野さんが良かったので勝ちがついてホッとしています。

▽中日高橋(7回、2点差に広げる適時打) 絶対に追加点が欲しい場面だったし、大島さんがデッドボールの後、盗塁してセカンドまで行ってくれたので特別な思いがありました。絶対に返したかった。

▽中日阿部(7回、ビシエドの同点打に続き逆転の適時二塁打) 今まで大野さんがいいピッチングをしても打てないで迷惑をかけていたので勝ちをつけることができて良かったです。