2年目の中日梅津晃大投手(23)が、プロ初の完投で10回を無失点で投げ抜いた。

打線の援護がなく0-0の引き分けに終わり、完封勝利はならなかったが、7回だった自己最長イニングを大幅に更新、壁を一気に突き破った。

熱投だった。延長10回もマウンドに立ち、最後は代打川端の難しい遊ゴロを京田がさばいた。10回裏のサヨナラ劇をベンチで待ったが、1点が遠い。「10回を投げきったというより、勝てなかったことが悔しいです」が第一声だった。

10回を投げたことは野球人生でも初めてだという。変則右腕のヤクルト山中との投げ合い。8回に打席が回ってきたときも、与田監督との「行くんだろ」と短い会話で意思確認。9回の攻撃が無得点に終わっても「勝ちたい気持ちが強かったので阿波野コーチに(続投を)伝えました」。自己最多となる127球を投げ抜き、5安打9奪三振。申告敬遠2で実質無四球の見事な投球ショーだった。

2日前にエース大野雄が今季チーム初完投で初勝利。「昨日(1日)の勝野も逃げずに向かっていって抑えていた。調子どうこうではなく、その気持ちが大事だと」。4回1死一、三塁の唯一のピンチでも4番村上の内角を直球で攻め、二ゴロ併殺に仕留めた。

自身の今季3勝目もチーム3連勝もお預けとなったが、復調が見え始めた先発陣の中でも梅津の存在感の大きさは一気に増した。「いい経験が出来ましたし、こういうピッチングを続けていきたいと思います」とすぐに気持ちを切り替えていた。【安藤宏樹】

▽中日与田監督(梅津が10回無失点)「ホントに素晴らしい。これに尽きると思います。気持ちも充実してましたし、内容もそうですけど、勝たせてあげたかったなと。それだけですね」

▽ヤクルト高津監督(中日梅津から5安打で無得点)「あれだけ球に力があって、ストライク先行で、四球も出さないし、コントロールもいい。なかなか点は取れない」