想定外のエースの大乱調で、チームは崖っぷちに立たされた。

日本ハムは13日、楽天17回戦(楽天生命パーク)に先発した有原航平投手(28)が、3回途中9失点と炎上し7敗目を喫した。序盤の6点の援護も守れず、痛すぎる黒星。14日にも自力優勝の可能性が消滅する。

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マウンドに立つ有原の様子は、明らかにおかしかった。狙い通りに、ボールを操ることができない。雨天中止の影響でスライド登板。立ち上がりから制球に苦労した。

1回、浅村に内角低めの149キロを右翼席へ運ばれ先制点を許した。打線が一挙6得点で逆転してくれた直後の2回には、2死走者なしから四球を挟む4連続長短打を浴び、再び試合は振り出しに。3回に1死満塁とされたところで降板した。

シーズン序盤こそ勝ち星に恵まれなかったが、8月以降は3勝1敗と昨季最多勝投手の実力を発揮。直近の4試合でクオリティー・スタート(6回3失点以内)を守ってきたが、この日は、何度も汗をぬぐい、腰を気にするしぐさを見せるなど、いつもの余裕はどこへやら。自己ワースト(10失点)に迫る9点を失い「申し訳ない気持ちです。今日は何も言えることはありません」と、悔しさを押し殺した。

今月8日からの敵地6連戦は、これで1勝4敗。この日から始まった8連戦は黒星スタートとなった。前日12日に飯山内野守備コーチの新型コロナウイルス感染が判明し、チーム全員が夜にPCR検査を受けた。結果が出るまで宿舎で待機したため、通常より約1時間遅れでの球場入り。試合前練習の時間が限られるなど、慌ただしかった。試合後の栗山英樹監督が発したのは「何もないよ。以上。明日から頑張ります。それしかないよ」という言葉だけ。14日楽天戦で敗れれば、自力優勝の可能性が消える。【中島宙恵】