苦しい戦いが続いていた楽天に光明が差し込んだ。オリックス戦に「7番二塁」でスタメン出場した渡辺佳明内野手(23)が4、6回に適時打を放つなど、3安打2打点の大暴れ。今季得点圏打率を5割4分5厘に伸ばし、持ち前の勝負強さでチームを勝利に導いた。負ければ最下位オリックスに3連敗するところだったが、1日で借金生活から脱し、チームは再び勝率を5割に戻した。

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2戦ぶり出場となった渡辺佳のバットが、チームに漂う嫌な空気を振り払った。2度のチャンスで、いずれも“らしい”初球攻撃。4回1死一、二塁で増井のフォークを左前へ落とし、6回1死二塁では荒西の141キロ直球を左中間への三塁打とした。「(オリックス相手に)3連敗だけはしたくないと、とりあえず気持ちで打ちました。僕は結果を出さないといけない立場。チャンスをいただいているうちに何とかものにしようと思って」。魂のこもった打撃で勝利を呼び込み、お立ち台では会心の笑みを浮かべた。

これで今季は得点圏打率5割4分5厘。昨年も同3割9分3厘。まだレギュラー定着とまではいかないが、好機にはめっぽう強い。三木監督はその理由を(1)「気持ちの強さ」(2)「打席に入る前の準備」にあると見る。「気持ちが強いんだろうと思います。そういうのがああいうケースでは出る。それと打席に入る前に(対戦投手について)いろんなことを整理していけている。勝負強さが佳明の強みの1つなので、またこうやって貢献してくれたら」と手放しで喜んだ。

チームが連敗を3で止め、勝率を5割に戻したとはいえ、苦しい状況には変わりない。ただ、ここ3試合でわずか2点しか取れていなかった打線がつながりだしたのは大きい。田中、浅村に1発も飛び出した。18日からはソフトバンクとの3連戦を迎える。ここで首位をたたけば、再浮上への道筋は見えてくる。「3連勝して、首位との差を少しでも埋められるように頑張っていきたい」。強心臓が売りの渡辺佳は迷うことなく言い切った。【千葉修宏】