「ハマの宇宙人」ってどんな人なんだろう-。

DeNA井納翔一投手(34)は入団直後から奇想天外な発言、行動から“宇宙人”の愛称で親しまれてきた。登板時には横浜スタジアムの外野フェンスビジョンに宇宙人のイラストが映し出される。球団公式LINEスタンプも、宇宙人がモチーフになっている。

今季は「プレゼント王子」の異名も持つ。7月9日広島戦で2勝目をマークすると「10日は石川(雄洋)の誕生日なので、同級生でもあるし、お互いに1年でも長くやりたいというのもあるので、石川に渡そうと思います」。8月4日中日戦での3勝目は「2軍で頑張っている細川が誕生日なので、細川にプレゼントしたいと思います」。プロ野球選手がプロ野球選手にウイニングボールを贈るという、異質なピュアストーリーを平然と敢行する。

ウイニングボールを贈られた石川、細川が喜んだかどうかは不明だが、実用的な備品もプレゼントしている。

5勝目を挙げた8月27日広島戦でヒーローに選ばれ、家電量販店のノジマから冷蔵庫が贈呈された。「キャンプ前に新しいのを買ったので、母親にあげようかと思っています」と話していたが、気をよくしたのか「ブルペンの冷蔵庫が小さくて古いようなので、新しくプレゼントします」と自腹を切って追加購入した。

元来は先発完投型を志すも、今季は試合前の時点で完投ゼロで、最長は7回が1度だけ。「先発として長いイニングを投げられなくて中継ぎに迷惑をかけている。負担が多い試合が続いている」と地球人、日本人らしくチームの和を重んじる。

登板前にマウンドに決意を記す「マウンド作文」。登板時のマウンドとベンチの行き来は走らず平然と歩く「井納散歩」。巨人坂本のバットを完全コピーした「翔一モデル」。こだわりがあるのか、ないのか、よく分からない。首位巨人の背中は遠い。1強のセ界ではペナントレースの火が早々に消える。想像を絶する奇跡を期待してしまう大型右腕でもある。【為田聡史】