気迫を球に乗せた。3点リードの8回。日本ハム有原航平投手(28)が、ギアを入れ直した。「絶対に抑えたいと思って、力を入れました」。先頭マーティンに3球で3ボールとしたが、冷静にカットボール、ツーシーム、チェンジアップでカウントを立て直した。9球目、直球153キロで空振り三振。小さくほえて、3者凡退への道筋をつくった。

背信の投球後、静かに燃えていた。前回13日楽天戦は3回途中9失点でKOされた。序盤6点の援護を守れず今季最短、ワースト失点で降板。今季初の中5日での登板は、首脳陣が状態を見極めた上で、有原の「いきます」の力強い言葉がゴーサインとなった。「とにかく今日、勝つことだけ考えてやってきた」と8回無失点で応えた。

栗山監督は「“魂の日”だと思っていたので、今日は本当に素晴らしかったと思います」と、たたえた。本調子ではない中で、フライアウトは4個、半数以上を打たせて取るなど持ち味を披露。有原はヒーローインタビューで「今日のようなピッチングを続けて、どんどん勝っていきたい」と宣言した。昨季、最多勝右腕の底力を、ここから見せていく。【田中彩友美】

▽日本ハム木田投手コーチ(有原に) 調子自体は絶好調ではない中、自分でリズムをつくって試合を組み立ててくれた。さすが有原だなという試合。