先発転向2年目の中日福谷浩司投手(29)が、右の先発の軸の座をがっちり固めた。

阪神戦に先発し、6回まで相手打線を無得点に。だが7回途中に打球が右太ももを直撃する悲運に見舞われ、降板。プロ初完投を逃すも、先発では左腕エース大野雄に次ぐ4勝目をつかんだ。入場制限が緩和された本拠地初戦。右腕が竜党に存在感を見せつけた。

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福谷が、安定感を見せつけた。初回、先頭近本に二塁打を許す立ち上がりだったが、7回途中まで投げて4安打無失点。チームトップの大野雄の5勝目に続く4勝目で、チームの連敗を3で止めた。

「前回(の阪神戦)は本塁打を打たれた。借りを返せたらと思っていた」。8月26日阪神戦(甲子園)でボーアに2発、陽川に1発の計3被弾で6回6失点でKOされた。この日許した長打は2本だけ。スコアボードにゼロを刻み続けた。

3勝目を挙げた9月3日の広島戦(ナゴヤドーム)。完封目前だった8回途中、下半身の異変で無念の降板。プロ初完投、初完封を逃し、涙にくれた。この日も悲運に見舞われた。7回2死。142キロのストレートを坂本に打ち返され、打球が右太もも内側を直撃。阿波野投手コーチらとベンチに戻り、マウンドには戻らなかった。

「恥ずかしいアレ(場面)ですが、(足は)大丈夫です。次に行く中継ぎのこともあったので、いったん下がりました。(再び)行く気もあった。でもあの時間が作れたことも良かった」。7回2死一塁から緊急登板の福ら救援陣のため、時間をつくった。

交代の理由を、与田監督は「内転筋のあたりに腫れが出ていた。無理をさせてケガにつながったりするので、交代させた」と説明。「(初回に)連打を許さなかったことでリズムを作れた。登板ごとに力をつけている。目標の完投、完封はできなかったが、よく投げてくれた」とねぎらった。お立ち台で、福谷は「次もいい投球ができるようにがんばります」と約束。力投とその一言で、球場に戻ってきた竜党を喜ばせた。【伊東大介】

▽中日アルモンテ(11日以来のマルチ安打) 自分の役割、何をしたらチームが勝てるかを考えて、明日も頑張るよ。

▽中日福(7回2死一塁の緊急登板で代打中谷を打ち取り、12ホールド) 焦ることなくマウンドに向かうことができた。福谷さんもずっと頑張っていたのでゼロで帰れて良かった。

▽中日R・マルティネス(9回に登板し1点を失うも、試合を締める) いつもよりお客さんがいっぱい来てくれてうれしい。自分のやることは変わらないから、抑えることに集中している。