オリックスが痛恨の継投失敗で逆転負けを喫した。中嶋聡監督代行(51)が険しい表情で振り返る。「ああいう場面で信頼して出している。こういう結果になったことは仕方ない」。2点リードの8回1死一塁で4番手の吉田凌がマウンドへ。2死にこぎ着けたが、2四球で満塁のピンチを招くと森に初球をとらえられて左翼フェンス直撃の走者一掃3点適時二塁打を浴びた。勝ちムードが一変して奈落の底へと転落した。

伏線があった。2点リードで終盤へ。7回2死一塁で源田を迎えて指揮官が動く。左腕山田を投入し、速球で空を切らせた。8回先頭の栗山を右飛に抑えた。逃げ切りのシナリオが狂い始めたのは、その直後だ。この日、アーチを放っていた4番山川の打席だった。指揮官の決断は、山田は左打者2人との対戦ではなく続投。昨季は山川を4打数無安打3奪三振と封じていた。だが、結果的に裏目に出る形で左前打で出塁を許した。山川との好相性を問われた指揮官も「まあ、そういうこともねえ」と歯切れが悪かった。

走者が出た形で直後に登板した吉田凌は2死を奪うまでは良かったが、しのげずに今季2敗目を喫した。外国人枠の事情で必勝パターンのヒギンスはメンバーを外れた。中嶋監督代行は「そのなかでやっていく決まり事」と話した。

1回に太田が先制本塁打を放ち、3回には宜保が加点適時打。19歳の2人が躍動したが勝ちにつながらなかった。「いままで若い選手が出るためにはどうするのか、このチームが育っていくためにはどうするか、そこにプラス、勝つことはもちろん。その点で、今日の試合は絶対に勝たないといけなかったのですが、そこができなかったのはミスだった。そこを両立できなかったのがすごく痛い。本当はここで勝って、アイツらが乗っていってくれればと思う。そこまでできなかったことが痛いです」と敗戦の弁だった。【酒井俊作】