奪三振ショーから再起を期す。阪神藤浪晋太郎投手(26)が、ウエスタン・リーグ中日戦(鳴尾浜)で2軍降格後初実戦に臨み、7回1失点、14奪三振と快投した。掲げていたテーマ通り、序盤から変化球でカウントを整え、毎回奪三振。それでも「まぐれの三振が多かった」と納得しなかった。早期の1軍再昇格を目指し、質と精度にこだわっていく。

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見栄えのいい数字に惑わされない。浮かれない。藤浪は14三振を奪い終えた直後、誰よりも冷静に投球内容を分析した。

「悪くはなかったですし、感触も良かった」と前置きした上で「まぐれの三振というんですかね、意図しない形での三振が多かった」と表現。満足感からは程遠い言葉の節々に、再スタートに懸ける覚悟の強さをにじませた。

2軍降格後初実戦は奪三振ショーで幕を開けた。1回は3番根尾を155キロで3球三振に仕留めるなど、3者連続で空振り三振を奪った。2回2死から当たり損ねの内野安打を許すまで5者連続三振スタート。何より、カウントの整え方に意図を感じさせた。

1軍では直近の3戦すべてで5回未満の降板となり、14日に出場選手登録を抹消された。5日巨人戦では5回途中で球団史上ワーストの11失点。原因を改善する必要があった。

「1軍ではほとんど真っすぐを打たれている。スライダーが入らなくて、苦し紛れの真っすぐということが多かったので」

反省を生かし、序盤から変化球でストライクを稼いで的を絞らせなかった。1度もイニングの先頭打者を出さず、7回を5安打3四球で1失点。1、2軍を通じて自己最多となる14三振を奪い、「カット、スライダーで苦しい時にストライクを取ったりはできた」と手応えも口にした。

ただ、2軍戦の快投で喜べる立場ではない。この日は6回以降の2イニングで4安打1失点。三振を奪った後に天を仰ぎ、首をかしげる場面もあった。

「ボールが抜けて(ストライク)ゾーンにいって相手が見逃してくれたとか、たまたま抜けて空振りしてくれたとか、意図しないアウトの取り方も多少あった。その辺は反省すべきところかなと思います」

改善の余地はまだ、ある。早期の1軍ローテ返り咲きへ。1球たりとも無駄にはできない。【佐井陽介】