激化する優勝争いへ、24億円左腕を逆輸入だ。ロッテは21日、元中日で米大リーグでもプレーした台湾出身の左腕、チェン・ウェイン投手(35)の獲得を発表した。推定年俸3000万円で、背番号は58。中日で最優秀防御率、メジャーでも通算59勝と実績に申し分なく、先発要員として期待をかける。既に来日しており、新型コロナウイルス拡大防止のための2週間の隔離期間が終了する10月5日以降に入団会見を行う。

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首位ソフトバンクとの1・5ゲーム差を埋めるべく、ロッテが沢村獲得に続いて本気補強を決めた。中日で09年に最優秀防御率を獲得し、メジャー59勝を挙げたチェン・ウェインが加入。かねて映像をチェックしていた井口監督は「キレのある変化球に伸びのあるストレート。優勝争いをしている中、左で貴重な戦力として大いに期待しています」と歓迎した。

1軍戦力は先発、中継ぎともに左腕が少なく、松本球団本部長も補強ポイントと明言していた。松永以外に実績のある左がいないまま開幕を迎え、その松永もコンディション不良のため、8月10日の抹消以降は2軍でも登板なし。ローテでは小島、中村稔の若手が合わせて7勝も、軸になる先発がほしかった。

そこへ台湾を代表する左腕に白羽の矢が立った。日本球界経験者で実績も申し分ない。MLBでの今季分の年俸2200万ドル(約24億2000万円)は、ロッテ76選手の総年俸25億7970万円をほぼ1人で稼ぐ額だ。だがマリナーズを自由契約になり、地元でトレーニングに励んでいたチェンは、本気で試合ができる環境を何より求めていた。

逆転優勝を狙うロッテと思惑が合致し、推定年俸3000万円での契約を快諾。球団を通じて「日本一になれるように全力で頑張ります。マリーンズは10年に日本シリーズで負けた時の印象が強いです。ZOZOマリンで風をうまく生かした投球ができればと思います」と意気込んだ。

既に19日に来日しており、チーム合流は2週間の隔離期間を終えた10月5日以降となる。井口監督は「ペナントレース、最後の苦しい時にローテーションに入ってもらえると、これほど頼もしいことはない。優勝を引き寄せてくれる存在と思っています」。先発陣を支える左の柱として、シーズン残り1/4の佳境を託す。【鎌田良美】

◆チェン・ウェイン(陳偉殷)1985年7月21日、台湾・高雄生まれ。国立台湾体育学院の学生のまま04年2月に中日入団。2年目の05年に1軍デビューした。06年に左肘を手術し、07年は育成選手契約。08年4月2日巨人戦で初勝利。09年には4完封を記録し最優秀防御率。10年日本シリーズ第2戦ではロッテ相手に勝利。12年に大リーグのオリオールズへ移籍。12年地区シリーズではイチローらのヤンキースに勝利。16~19年はマーリンズでプレー。今季はマリナーズとマイナー契約を結び、6月に自由契約となった。183センチ、90キロ。左投げ右打ち。

◆トレード期限 今季は開幕が延期となったことで、トレードなどの支配下登録期限が例年の7月31日から9月30日まで延びた。