巨人田口麗斗投手(25)は今季、地元で始動した。1月7日、広島市内で自主トレを公開した。昨オフから始めた初の単身自主トレ。キックボクサー那須川天心の影響を受けて、心肺機能を高める効果のある「レブナマスク」を導入。先発再転向を念頭に体力強化に励んだ。「人のせいにできない環境で、自分自身が責任を持たないと」と自分を追い込んでいた。

愛する地元のために。新型コロナウイルスによる個人調整期間の5月には、広島県の医療機関に向けサージカルマスク1万枚を寄付した。自主トレ公開の前日の1月6日には、広島市内で第1子が誕生。自身は子どもの頃に長期入院を経験。親子ともにお世話になった。「最前線で命をかけて闘ってくださっている皆様の力になりたい」と恩返しがしたかった。

広島新庄時代は瀬戸内・山岡(現オリックス)と激しい覇権争いを繰り広げた。13年夏の県大会決勝で投げ合い、延長15回ともに無失点。2日後に再試合が行われた。田口が1失点し、軍配は山岡に上がった。

広島のタクシードライバーから「広島に頑張ってほしいけど、巨人の田口とオリックスの山岡のことも気になる」と聞いた。たとえ他球団に入団しても県民のヒーローであり続ける。田口は今季、試合前の時点でカープに対し3試合に登板し1勝1敗、防御率5・54。希望と地元への感謝を胸に上京した青年が、東京のど真ん中で腕を振る。【久永壮真】