勝つしかない矢野阪神が波に乗れない。DeNAの先発上茶谷を攻略できず、6安打で今季9度目、甲子園では初の完封負け。甲子園での連続試合本塁打も「8」で止まった。巨人は4連勝で優勝へのマジックを「28」とした。首位とは今季ワーストタイの11・5差。奇跡の逆転優勝が遠くにかすむ1敗となった。

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甲子園のスタンドからため息が漏れた。4点を追う9回2死一、二塁。この日最大の盛り上がりは、6番ボーアの空振り三振で消え去った。今季最多の貯金5へのチャレンジも、本拠地甲子園でDeNA上茶谷の前に6安打無得点、10三振。三塁すらを踏むことができずチ、ームとしては今季9度目の完封負けを喫した。高い勝率を誇る甲子園での完封負けは初だ。首位巨人に今季最大タイの11・5ゲーム差と背中がかすむ。

「調子はいいなというのは、こっちも感じていました。でも、チームとして、最後までゼロでいかせたというのは課題かなと思います」

試合後の矢野監督は悔しさを押し殺すように上茶谷の印象を語った。キレのあるカットボールに球速の落ちない直球。今季3度目の対戦となった2年目右腕にまるで歯が立たない。頼みのサンズ&ボーアの助っ人コンビも2人で計5三振とさっぱりで、4日から続いていた甲子園での連続本塁打も「8」でストップ。これで前回対戦した今月9日から15イニング連続無得点と苦手を作ってしまった。

投打の歯車がかみ合わない。7回に2番手エドワーズが2番ソトに3ランを浴びて試合の流れが決まったが、問題なのは先発に勝ちが付かないという事実。15日から9連戦で先発が勝利したのは17日巨人戦の西勇だけだ。矢野監督は「もちろん先発はやっぱり勝たないと。そこは野手としては早く点を取らないとダメだし、ピッチャーとしても責任投球回数をしっかり投げきるというのが必要」と険しい表情だ。

波に乗れない理由がある。今季は水曜日が2勝10敗1分けの勝率1割6分7厘。1週間の真ん中で勝てず、「魔の水曜日」が大型連勝ができない原因にもなっている。矢野監督は25日からは敵地神宮でヤクルト3連戦に向けて「一戦必勝でずっとやっていますし、まあいい感じでね、また戻ってこられるように戦っていきます」と力を込めた。シーズンも残り39試合。矢野阪神のネバーギブアップ精神が試される。【桝井聡】

▼阪神は今季9度目の完封負け。これで首位から11・5ゲーム差。9月16日巨人戦で敗れたときと並び、今季最大差となった。

▼今季の水曜日の試合は2勝10敗1分けで、曜日別最低の勝率1割6分7厘。チーム打率2割2分4厘、防御率4・70もともに最悪だ。