日本ハム上原健太投手(26)の快投が、ようやく報われた。24日、西武18回戦(メットライフドーム)で7回5安打2失点(自責1)の好投。防御率1・11と安定しながら白星に恵まれなかったが、4試合目の登板で今季初勝利。19年6月2日オリックス戦以来の勝利を手にした。

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勝利のハイタッチの最後尾、上原が控えめに並んだ。今季4試合目での初勝利。ヒーローインタビューでは「1つ勝つことの大変さを知りました」と、ほおを緩めた。

7回5安打2失点。ギアを上げたのは、味方の適時失策で点差を詰められた3回だ。「失策で崩れると、野手も責任をすごい感じる。どうしても抑えなきゃいけない場面。今日の僕の1番大事な場面だった」。なお、1死満塁と走者を背負ったが、栗山、メヒアを連続三振に切った。「(この回を)1点でしのげたというのが、今日の試合で1番良かった」。今季最多9奪三振と力がこもった。

不運を断ち切った。2日楽天戦は5回無失点ながら、チームは逆転負け。前回17日ソフトバンク戦も、8回まで0-0の投手戦を展開。9回に味方の守備の乱れが絡み、失点2(自責1)で黒星を喫した。初勝利が遠くても「打ち取るところ、抑えにいくところは、自分の中でハッキリと明確に投げていきたい」と、打者との駆け引きの大切さを胸に刻んできた。

執念は守備にも表れた。勝利投手の権利がかかった5回2死。栗山のマウンド付近への飛球に、味方守備陣を制して、自ら捕りに出た。捕球後に倒れ込んだが、チームメートに声を掛けられ笑顔で引き揚げた。栗山監督は「絶好調じゃない時に、どうやって(得点を)守れるかという成長を待っていた」と評価した。

明大からドラフト1位入団。初登板の紅白戦で1死も奪えず8失点したプロ野球人生のスタート。上原は「しっかり1人1人、僕は全力で投げていくだけ。しっかり勝ち続けて、最後まで戦い抜きたいと思います」と宣言した。不遇の時を経て、頼もしくなったピースが加わった。【田中彩友美】