中日木下拓哉捕手(28)が、攻守でG倒を導いた。先発福谷が同点に追いつかれた直後の8回1死走者なしの場面。4番手大竹の5球目の決め球を完璧に捉えた。高めに甘く来たシュートを逃さず一閃(いっせん)。打球は放物線を描き、竜党が手を広げて待つ左翼スタンドに飛び込んだ。

「どこかで(シュートが)来ると思っていた。考え過ぎてもいけないので、追い込まれるまで捨てていた。追い込まれて、あるなと」。決勝の2号ソロ。今季チーム最多の41試合で先発マスクを被る読みが、ズバリ的中した。

守備でも魅せた。1点リードの9回1死一塁。左前打で出塁した岡本の代走増田大が仕掛けた二盗を好送球で刺し、流れを断ち切った。R・マルティネスを導き、結果的に坂本、岡本、丸の中軸を3人で抑え、1点差逃げ切りを演出した。

盗塁阻止率4割8分3厘は堂々のリーグトップだ。今季は出場試合、先発出場、安打、打点とキャリアハイを積み重ねる。加藤、郡司らと競う正捕手争いでも1歩抜け出した。お立ち台でもマイクでファンを魅了した。「今朝、エレベーターで傘を入れるビニール袋を拾って捨てたので、神様が味方してくれた。神様ありがとう!」。東京ドームが温かい笑いに包まれた。

この日、平田が下肢のコンディショニング不良で抹消され、アルモンテは実母の死去で傷心。窮地を救った背番号35を、与田監督もたたえた。「ずいぶん成長してきた。全ての部分で。まだまだ高みを目指さないといけない。正捕手争いで必死に取りにきていると感じる」。木下拓の奮闘で、7月28日の広島戦から続く、6回終了時点でのリードゲームは23連勝。「明日も出まーす!」。ファンへの言葉に、正捕手への自信がのぞいた。【伊東大介】

◆木下拓哉(きのした・たくや)1991年(平3)12月18日、高知県生まれ。高知から法大、トヨタ自動車を経て15年ドラフト3位で中日入団。17年は51試合出場も腰痛に悩まされ、ここ2年は出場機会が減少。腰痛も克服しながらコーチらと打力向上に励み、今季は打率2割7分4厘と開花。183センチ、92キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1200万円。

▽中日京田(5回に畠から先制の4号2ラン) ベンチから思い切っていけと言われていた。その気持ちが最高の結果になりました。

▽中日祖父江(7回途中から福谷をリリーフ、15試合連続無失点で今季初勝利) 与えてもらった場所で、精いっぱい頑張ります。

▽中日R・マルティネス(9回に木下拓の盗塁阻止もあり14セーブ) 木下がナイスボールを投げてくれて助かった。チームが勝ったことが本当にうれしい。