ロッテ打線の「らしさ」が1回表に凝縮された。午後6時開始の試合、1番荻野の打席がなかなか終わらない。4球でカウント2-2になってから、5球ファウルで粘る。フルカウント。3分半かかって投じられた日本ハム上沢の11球目の直球は、わずかに外れた。ロッテベンチが沸いた。

今季チームで375個目の四球だった。井口監督は「四球は安打と同じ」と割り切る。「低めをしっかり見逃しているということだと思いますし、低めを打ってもなかなか安打になる確率は低いので、そういうところを今年は徹底してやっています」。

故障から復帰して4試合目の荻野の粘りに、後続が勢いづく。2番角中がランエンドヒットで左翼線二塁打。「走ったのが見えたので、内野ゴロでもいいと思った分、バットのヘッドが利いて切れずに飛びました」。先制後、3番マーティンも8球粘って右飛。試合開始から12分後、ようやくの1死となった。

安田、井上と中軸の適時打が続き、立ち上がりに41球で3点を奪った。時間にして23分間。3点以上の重みを日本ハムに与えた。初回に投げさせた球数としては、8月25日楽天戦に続く今季2位タイの数字だ。今季ここまでのベストゲームを問われた井口監督は「勝った試合全てじゃないですかね」と答える。首位ソフトバンクや3位楽天のような圧倒的な打者はいない。時には一気呵成(かせい)に、時には泥臭く。経験値を高め、勝負の秋に備えてきたのがロッテの強みだ。【金子真仁】