オリックス山本由伸投手(22)がエースの快投を見せつけた。西武戦でプロ最多の1試合14奪三振。目標の2桁勝利に射程圏内の今季7勝目を挙げた。お立ち台で「冷静に熱く投げました」と叫ぶ。8回無失点でマウンドに仁王立ちした。

登板前、いつも言い聞かせていることがある。「初回がとにかく大事」。1回からストライクゾーンの高低をフルに使う。先頭源田にはすべて高め速球だ。150キロ超であっさり追い込み、空を切らせた。2死後は巧打者の栗山と対決。ファウルで粘られて7球目は外角高め149キロを当てられたが8球目は外角低めにフォークを落とし、空振り三振だ。球威がある分、高低に揺さぶる球に打者の目線はついていけなかった。

1回は3者連続空振り三振。3回から5者三振を続けて奪った。この日は実に17度も3球以内で追い込んだ。山本は「ストライク先行の結果、しっかり打者を圧倒できている。練習してきたストレートが空振りを取れるおかげで、変化球も空振りを取れるようになって1つ1つの球の質が上がっている」と話せばリードした伏見も「フォークが素晴らしく良かった」と絶賛。夏場は1カ月以上、勝てなかったが自身3連勝だ。

防御率2・43と123奪三振は堂々のリーグ2冠で10勝もうかがう。先発転向2年目も着実に進化する。チームは9月の月間勝率5割以上を確定。中嶋監督代行体制下で勝率5割に戻した。指揮官は「(カード)頭を取ってくれると勇気が出る」と感謝。速球の軌道から落としたり曲げて打者を惑わす、大黒柱の独壇場だった。【酒井俊作】

▽オリックス伏見(2回に5号ソロ、守っては山本を好リード)「(アーチは1-3から)四球を出したくないだろうと思って。由伸『さん』のリズムを崩さないように。ストライク先行にできるのは、由伸という投手のレベルの高さ」