早大のエースが、炎の連投で同点を呼び込んだ。

4-6の8回1死満塁、早川隆久投手(4年=木更津総合)が5番手でマウンドに向かった。前日の法大1回戦で112球完封勝利。リリーフ待機していたが、2点ビハインドでも向かった。「負けたくない。追加点を与えると法政の流れになる。攻撃的にいこう」と目をぎらつかせた。

中村迅に対し、フルカウントとした。7球目。カットボールの要求に首を振った。「向こうはカットを捨てている。直球勝負で三振を取れたら」と148キロを投げ込んだ。ファウル。さらに直球を続けた。8球目、内角146キロをズバッと決め、見逃し三振。珍しく、激しくガッツポーズした。次打者は遊邪飛で切り抜けた。「ガッツポーズは、あまり派手にしないのですが。うれしさのあまり」と照れ笑いで明かした。

相手の上をいった。満塁でフルカウント。「変化球で四球だと後悔する。直球を打たれたら仕方ない。(相手打者が)変化球は捨ててる感じだったので。アウトコースすれすれより、甘くても強い球を投げようと」と意図を明かした。四球だけは避け、自信のある真っすぐ勝負でねじ伏せた。

その気迫が打線に火を付けた。直後の攻撃。先頭の丸山が四球を選ぶと、早川はきっちり送った。そこから長打2本が続き、同点。早川は9回も抑え、引き分けに持ち込んだ。

小宮山悟監督(55)は「しのぐには早川しかいない。頼もしく映りました。本来なら9回の1イニングか、投げさせずに済ませたかった」と明かした。先発徳山が2回で降板。継投プランが崩れた中で、エースの早めの投入となった。

最速155キロ左腕だが、連投のこの日は同148キロにとどまった。小宮山監督は「140キロ台後半で『遅くなっている』と言われる。かわいそう。生まれ変わったら早川になりたい」と言って、場を和ませた。技巧派として時代を築いた指揮官からの最高の褒め言葉だった。【古川真弥】

▽巨人水野巡回投手コーチ(連投で抑えた早川に)「すごい。完投翌日、しかも負けている場面。チームのためでしょう。気持ちしかない。投げる球も素晴らしいですが、気持ちです」