<中日5-3阪神>◇15日◇ナゴヤドーム

今季限りで現役を引退する阪神藤川球児投手(40)が、1軍に合流した。チームはサヨナラ負けを喫し、この日は登板機会はなかった。

試合後は、現役時代にしのぎを削った中日荒木内野守備走塁コーチから黄色い花束を手渡され、場内を1周した。まずは中日ファンのいるライトスタンドへ。「球児コール」が起きると、マスクで涙を拭うそぶりを見せ笑顔でおどけた。自身のタオルを持って応援してくれたレフトスタンドには静かに一礼。全てを目に焼き付けるように、ゆっくりと球場を一周した。

藤川の試合後の一問一答は以下の通り

-ナゴヤドームという場所も思い出がある

「それはそうだよね。例えば神宮であればオールスターとか、東京ドームであればジャイアンツのたくさんの試合。ドラゴンズといえば、落合監督であり、岩瀬さん、荒木さん、今日も会って引退試合も岩瀬さんも来てくれるし。戦いもするんだけど、なんかこう一緒に戦ったメンバーで、ファンの方もものすごく分かってくれていて。やっぱりそういうのってなかなか出会える時ってないので、なんとかこの日に間に合わせて来られたことだけで、選手ってこんなに幸せなんだなというのを感じることができたので、それが見ている人とか後輩であったり、他球団のチームの選手たちにとっても、またいいきっかけになればいいと思うし。ありがたい以上というか、これから次の第2の人生で生きていく糧になりますよね。自分がこれだけ残したんだというか、いい勝負を繰り広げさせてもらったというところで、人の印象は消えないんだなと。記憶って。やっぱりその記憶を大事にこれから生きていこうと思いましたね。スアレスがセーブ挙げて、そのボールもらってサイン書いてもらってね、(自分のセーブが)246個目ですと言いたかったんですけど、でもまた明日からその機会が、本当にそれで250セーブを超えられたら(笑い)。僕は自分の記録は本当にどうでもいいので、チームとして戦っていく中で、自分が在籍しててそういうセーブ数に届くだけでも250勝以上するわけだから、そうやって今日ほしいなとか思いながら見てて。残念ながら負けましたけどね。離れてみてね、4時間の試合中とそれ以外の部分は分けて考えさせてもらいたいなと。これだけみんなが相手球団でも応援してくれたんで、ゲームの中に持ち込まずに、ゲーム外でそういう時間をいただけているというのはありがたいし。こんな感謝はない、ドラゴンズさんに大感謝ですね。ありがたい。うれしい限りです」

-2018年にはここで、引退する岩瀬さんに花束を渡したが

「荒木さんも引退試合で甲子園で投げさせてもらったし、タイロン・ウッズの通訳さんから『ウッズがよろしく言ってたよ』という言葉を聞いたりね。もう会えることはないと思うし、だけどなんかこう、僕もそういうふうになるんだろうなと。前向きににずっとやってきたけれども、だんだんと前のことを思い出したりとか、それで後輩に聞かれたりだとか、ということが出てきた時に記憶で生きていくのかなと思ったら、これからの人生の糧になりますから。本当にうれしい限り、感謝。次の人生をしっかり歩いていくという意味で、いい時間をいただきました。ほんとにドラゴンズさんに感謝やし、ファンの方に感謝やし、タイガースファンの方にはね、もちろんドラゴンズの球場なんで、ドラゴンズ側から行かしてもらいましたけれど、それはやっぱり順番があると思いますので」

-1カ月以上チームから離れて、今のチーム状況だったり、これからチームの中でどういう役割を担いたいかという思いは

「やっぱり監督の起用法を見ていても、必死に勝とうとする姿をすごく感じるし、選手たちもそれに応えようとしているし、やっぱり相手チームとグラウンドの戦いの4時間というのは、本当にしのぎを削っているから。自分は出番がいつあるかなと思いながらでもやっぱり、ゲームというのをリスペクトしているので、順位的に2位、3位を争っている状況だし、ファンの方のたくさんの意見が分かれるところだと思うんですけど、グラウンドの中というのは答えは1つなので。勝つか負けるか、でやっていきながら、その中でプロフェッショナルなプロ野球というエンターテインメントを入れるというのが、僕もそれは感じるところなので。やっぱり勝負の中で生きてきた人間なので。なんか力になりたかったなと、今日負けたことでね、もう少しチームの雰囲気とか考えちゃいますよね。自分が来たことでもう1個なんかできたのかなとか、ちょっと力入れさせちゃったのかなとか、いろんなことを考えるし。それは明日また。名古屋最後なので、僕的には名古屋をしっかり考えたい、考える一日にさせていただきたいので、明日からはまたチームで入れてもらって、今日はもう1回寝るまでは、今日は名古屋のことを考えさせてもらおうかなと思います」