今夜踏み出される、大きな1歩。ヤクルトのドラフト1位ルーキー奥川恭伸投手(19)が、今季最終戦となる広島戦でプロ初先発する。ライトアップされたマウンドに登る瞬間は、見逃せない。

絶対に目が離せないポイント<1>直球のキレ、伸び

なんと言っても、高校時代からの持ち味。甲子園でも多くのファンをとりこにした直球は、芸術品と言える。「糸を引く」と表現する捕手もいた。プロ入り後最速は、154キロ。もちろん球速表示は気になるが、実際のキレを体感する、打者の打席での反応も要注目だ。

絶対に目が離せないポイント<2>制球力

奥川の調子を見る上でも重要になる。140キロ台のフォークボールがストンときれいに決まり、三振を奪う場面を、神宮でも見たい。イースタン・リーグ最終戦、1日の日本ハム戦(鎌ケ谷)で登板した際には、フォームのバランスが崩れており、高めに浮く球が多かった。そこから中8日での登板で、どう修正しているのか。

絶対に目が離せないポイント<3>奥川スマイル

マウンドではりりしい立ち姿だが、時折見せる19歳らしい笑顔がチャームポイント。マウンド上でも、味方の好プレーの際やチームメートと目が合って白い歯を見せることもある。とくにベンチに戻る際や、ベンチ内での一挙手一投足に魅力が詰まっている。

高津臣吾監督が、3球団競合の末に交渉権を獲得した昨年10月のドラフト会議から391日。1軍で初先発する。球団で、新人の初登板初勝利は過去13人。しかし、高卒新人で記録したのは64年半沢士郎の1人だけだ。しかも半沢は救援での勝利のため、奥川には高卒新人で球団初の初登板先発勝利がかかる。