社会人野球の都市対抗野球(22日開幕、東京ドーム)に出場するTDK(秋田)小木田敦也投手(22=角館)が、2度のドラフト指名漏れの悔しさをバネに、来秋ドラフト指名を誓った。

最速153キロの本格派右腕。10月の2次予選ではエースとしてフル回転し、MVPにも輝いて7年ぶり15度目出場の立役者になった。だが、ドラフト会議ではコロナ禍による試合数減少もあり、名前を呼ばれなかった。高校時代のチームメートで、東北公益文科大(山形)の赤上優人投手(21=角館)は西武から育成1位指名。先にプロ入りした球友と約束を交わし、アピール投を続けて夢舞台で再会する。

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TDKの剛腕・小木田が再スタートを切った。「ドラフト会議を見ていた時から、来年に気持ちは切り替えていた」。最速153キロ直球で押し、5種類の変化球も操る。今秋は7年ぶり都市対抗出場の原動力となり、本指名への手応えはあった。だが、運命のドラフト会議当日。1位指名される選手の名前を見て「前日までの自信が、『俺は、ないかな』に変わった。自分はまだプロレベルじゃない」と悟った。最後まで吉報が届くことはなかった。

来秋こそ、「3度目の正直」を期す。指名解禁初年度の昨年は右肩の故障で満足な投球ができず、最初の指名漏れ。今年はフォームを一から見直し、東海大山形出身の西武ルーキー宮川哲投手(25=東芝)を参考にした。「社会人時代に対戦したことがあって、自分に感じるものがあった」。ブルペンで投げる宮川からヒントを得て、リリースに入るまでの、グラブをつける左手の位置を修正。向けていた方向を三塁側から正面に変え、「長いイニングを投げても、コンスタントに球速が出るようになった。2次予選と同じように、本大会でもゼロを並べるだけ」と来秋ドラフトでの再々チャレンジに向けて、社会人最高峰のビッグタイトル舞台でアピールする。

角館時代のチームメートで、西武育成1位の赤上とは良きライバル関係。ともに1年からベンチ入りを果たし、2年で夏の甲子園に出場。3年では小木田がエースで、赤上は遊撃手だった。小木田は「やっぱり、負けたくない気持ちが強い」と、今でも刺激をもらう。赤上が大学1年秋に投手転向を決断した際には、トレーニング方法などを伝授した。

将来的には、プロの舞台で再会を誓う。小木田はドラフト会議終了後、LINEで連絡を取り合った。「お互いに、160キロを出すぞ」と約束を交わした。「東北で誰よりもすごい投手になって、160キロ右腕として、プロ入りを果たしてみせる」と意気込んだ。一回りスケールアップして、実りの秋を待つ。【佐藤究】