パ・リーグの盗塁王が4年連続日本一の突破口を切り開く。ソフトバンクは21日からの巨人との日本シリーズに向け、地元ペイペイドームドームで19日に練習を行った。1番での先発出場が濃厚の周東佑京内野手(24)は、第1打席で出塁し、二盗を決めることを宣言。13試合連続盗塁の「世界記録」保持者で、今季50盗塁の韋駄天(いだてん)が、試合開始直後から日本一4連覇へチームに勢いを与える。

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伝統の日本シリーズで、両軍で最初に打席に入ることにワクワクしている。ペイペイドームでの練習後、先攻のソフトバンク1番スタメン濃厚な周東は言葉を弾ませた。

周東 最初の打席は大事だと思う。今年の日本シリーズの1番打者は、1人しかない。特権だと思う。そのくらいの気持ちでいきたい。

昨年の日本シリーズでは4戦中3戦で代走出場し、わずか1打席(犠打)だった。しかし、今年は盗塁王で巨人に警戒される打者として出場する。今季50盗塁中、1番打者で初回に盗塁を決めたのは8度だが、チームが負けたのはわずか1度だけ。勝率8割7分5厘の武器を、日本シリーズでも発動する。クライマックスシリーズでは盗塁は記録できなかった。すでに第1戦の先発が予想される巨人菅野の映像は研究している。「何でもいい、当たって(死球)でも塁にでたい。そこを求められている」。プレーボール直後から出塁しての二盗という「周東劇場」を披露するつもりだ。

地の利も生かす。「京セラドーム大阪は人工芝が硬くて走りやすい。加速もつきやすいし、他より速くトップスピードに乗れる」。今季は同球場で2度走って成功は「1」。1度失敗しているが、リクエストで判定が覆ったものだった。

周東 ここまで来られたので、できることを楽しみたい。アキラさん(中村晃)にも「誰がミスしたなんて誰も覚えてないよ」と言われましたし、気楽にいきたい。チームが勝てばいいです。

相手バッテリーが警戒すればするほど、四球などで出塁する確率も高くなる。今季のチームの強さを象徴する韋駄天(いだてん)が「特権」を武器に、巨人相手に強烈な先制パンチを浴びせる。【浦田由紀夫】