鷹の「シリーズ男」が日本一まで突っ走る! 栗原陵矢捕手(24)が23日、ペイペイドームの全体練習で調整。巨人との「SMBC日本シリーズ2020」で、ここまで8打数7安打で驚異の打率8割7分5厘をマークしている。ブレーク中の「マロン砲」は、シリーズ史上最高打率、05年ロッテ今江の6割6分7厘も塗り替え、頂点に立つ。

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今、乗りに乗っている男は、落ち着いていた。栗原はバント練習、ティー打撃、フリー打撃といつもの流れで、リラックスした表情を見せながら調整を終えた。ここまで2戦で8打数7安打の大当たり。「シリーズ男」と言える活躍を見せているが、浮ついた様子はない。「球の見え方はいいのかな、と思います。初めて対戦するピッチャーが多いですし、タイミングを早めに取ることを意識しています」と冷静に、自身の状態を分析している。

一方で、周囲の反応には日本シリーズならではの空気を感じている。試合は全国中継され、注目度はシーズンの比ではない。「ニュースでも、プロ野球の時間が長いな、と思いますね」。知人からの祝福の連絡も、これまで以上に届いたようだ。シリーズ開幕前には今宮から「栗原という名前をアピールしてこい」とメッセージをもらったが、期待に応える働きを見せている。

プロ野球史を塗り替える可能性も出てきた。シリーズ2試合の打率は驚異の8割7分5厘。シリーズ史上最高打率は、05年のロッテ今江が記録した6割6分7厘だ。本拠地決着となれば、4戦、5戦で終わった場合の最多安打10本も視野に入る。栗原自身は「自分というよりは、あと2つ勝って4試合で終わりたいという気持ち。そのために1打席、1打席を大事にしていきたい。記録は後から付いてくるものだと思う。やれることをやるだけ」と、チームの勝利だけを追ってバットを振る。

今季は、開幕戦の栗原のサヨナラ打から始まった。栗原に始まり、栗原に終わる1年になるのか。工藤監督も「いい顔してますよ。打席の中で集中できていることがいい結果につながっているのかな」と推察。「マロン砲」が日本一まで駆け上がる。【山本大地】

▼日本シリーズの最多安打は8試合が86年西武清原、同石毛の11安打、7試合では62年阪神吉田の16安打、6試合では66年巨人柴田の13安打、5試合では97年ヤクルト稲葉の10安打、4試合は05年ロッテ今江の10安打。ソフトバンク栗原は2試合で7安打。4、5戦目で勝負が決した場合は、あと3安打で稲葉らの記録に並ぶ。