ソフトバンクのマット・ムーア投手(31)が、7回まで無安打無失点投球で降板した。序盤から150キロ超の速球や切れ味鋭いカーブを軸に、巨人打線を翻弄(ほんろう)した。

6回は自らの失策で先頭大城の出塁を許した。だが、1番吉川尚を150キロで詰まらせて中飛。2番松原も149キロで押し込んで中直に抑えた。3番坂本には低めカーブで空を切らせて、寄せ付けなかった。常時150キロを超えてくる左腕先発はセ・リーグにはいない。日本シリーズで単独でノーヒットノーランを達成すれば球界史上初めてだったが、工藤監督は継投を決断した。ムーアは言う。「初めての日本シリーズ、楽しむことができました。自分の投球内容より、チームが勝つということが一番大切なこと。リードしている状況を作れてよかった」

8回は2番手でモイネロが登板した。四死球でピンチを招いたが、落差の大きいカーブで田中俊、重信を見逃し三振、空振り三振に抑えて無失点。8回終了まで巨人を無安打に封じた。日本シリーズでは、07年中日が山井、岩瀬のリレーで無安打無得点試合を達成している。