最強ソフトバンク時代だ! 巨人を2年連続の4連勝で下し、前身の南海、ダイエー時代を含めて4年連続11度目の日本一に輝いた。主砲の柳田悠岐外野手(32)が初回に逆転2ランを放ち、これが日本一決定弾となった。昨年オフにメジャー挑戦の夢を断念し、7年契約を結んだ。38歳になる契約最終年まで勝ち続ければ、あの巨人の「V9」を超える「V10」。新たな伝説を超人が引っ張っていく。

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ついに真打ち登場だ。柳田が今シリーズ1号をかっ飛ばし、巨人の希望を砕いた。1回1死二塁で畠の初球フォークをとらえ、弾丸ライナーで右翼席へ。初回にシリーズ4試合目で初めて先制を許したが、20分後に逆転2ラン。力の差を見せつけた。「いい1年になった。疲れました。リーグで優勝できて、その勢いでしっかり勝てたのは自信になる。達成感がすごくあります」。パ・リーグ初の4年連続日本一を勝ち取り、激しいハイタッチの嵐で髪が乱れるほどに喜び合った。

日本シリーズでは18年の初本塁打から3年連続のアーチとなった。今年は初戦こそ無安打も、第2、第3戦で2安打ずつ。追い込まれてから技ありの軽打あり、豪快な中越えの長打ありと、柳田らしさを存分に発揮した。シリーズ開幕前には「そこで戦えるチームは2チームしかいない。そういう場に立てることに、感謝してプレーしています」。大舞台で野球ができる喜びを感じ、楽しむスタンスで普段通りのプレーにつなげた。

「運命」が柳田の未来を変えた。昨年は左膝裏のケガで長期離脱し、海外フリーエージェント(FA)権の取得が最短で21年にまで遅れた。「流れとか運命とかを信じるタイプ」。憧れだったメジャー挑戦の夢を封印し、オフにソフトバンクと7年契約を結んだ。当初は「野球は36歳まで」と話したこともあった。理由は「やりたいことが他にもいろいろあるんよ」。独特の感性を持つ柳田らしい。だが、7年契約を満了すれば38歳までプレーすることになった。「フィニッシュです。そこまで決まっている」と、契約満了後は現役引退も頭にある。

“ラストイヤー”まで日本一を続ければ、前人未到の「V10」だ。「どんどん野球がうまくならないとやられると思う。少し体を休めて。来年もこういう風に、みんなで喜べるようにしたい」。巨人以来の「V9」を本気で狙うチームの中心に、柳田がいる。【山本大地】