マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(47)が26日、神戸市内で、日本新聞協会主催の第73回新聞大会で講演した。同協会に加盟する社のメディア関係者向けのもの。味わい深い、久しぶりの「イチロー節」は以下の通り。

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こんにちは、イチローです。

-独特な雰囲気だ

イチロー氏 嫌ぁ~な緊張感がありますね(笑い)

-神戸での開催だ。地元紙でも報じられた

イチロー氏 いやあ、あれ、見る気、全然なかったんです。昨日ですよね。僕が朝、喫茶店で朝ご飯を食べているときに、気を使っていただいたんでしょうね。カウンターのところに新聞が置いてあったんです。意図せず見たんですけど(オリックス当時の写真で)爽やかでしたね。95年ですから25年前。当時、まだ僕は24歳。僕ねえ、あんな爽やかな時期、あったんですね。なんか、そういうのって消えていきますよね。どこに置いてきたんだろうって。よく、これについて話をすることがあるんですけど、僕はいつ、アレをどこかに置いてきちゃったんだろうって。みんな分からないんですよね。分かっているんです、もう検証済みなので(笑い)

-新型コロナウイルスの感染拡大で大変な1年。どう過ごしたのか

イチロー氏 2月頭にキャンプのために(米国)アリゾナに入って。チームの手伝いをずっとしていた。3月13日だったと思います。この日に強制的にキャンプ終了。そのときに4月9日までは様子を見る。いったん、解散と言われたんですね。それが3月の20何日か。当時、アメリカはその波がそこまで実感できる状態ではなかった。特にアリゾナはそういう状態ではなかった。でも日に日にそれが実感できるようになった。シアトルも状態が良くない。一番に考えたのは、いまの自分の体の状態をキープするためにどこにいるのがいいのか。これは日本だ、と。結果的にそうなりました。3月の終わりに実は日本に帰ってきました。そこから2週間隔離が解けてから、体を動かせる場所を確保して。自分の体の状態に戻して。日々、走って、投げて、打って。そんなふうにここまで過ごしてきています。

-トレーニングのレベルは現役時に比べて

イチロー氏 現役の時は当然、シーズン中は特にそうですけど、翌日や先々のことを考えて動くので、そこまで自分の体を追い込むことができなかったんですけど、いまはそれができてしまう。現役の時よりキツイですね。どうなるのか見てみたいという考え方のもと、毎日、動いています。

-キツイトレーニングで新たな発見は

イチロー氏 面白いのは47になったんですけど、球が速くなったんです。まさかの。投手の練習もしているんですけど。トレーニングだけではなくて、体の使い方も少し変えてみると、劇的に球が速くなって。さらに「重い球が来る」って、受けたみんなが言う。一緒に練習している仲間だけじゃなくて、何人か僕の球を受けた人が一緒に練習して、全員がそう言っていました。実感としてもあります。これは続けていないとできないことですからね。やめてしまうのは簡単。続けていくと、何か面白い発見があるだろうなと、いま、まさに実感しているところです。