広島森下暢仁投手(23)が29日、「2年目のジンクス」打破へレベルアップを誓った。今季は新人ながら10勝3敗、防御率1・91と抜群の成績。プロ2年目へ向け、新球種挑戦も視野に入れながら、練習に取り組む。

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森下の脳裏に「2年目のジンクス」はない。1年目に活躍した新人は2年目に成績を落とすと、球界ではもっともらしく語られる。即戦力として入団した森下はチームトップの10勝、リーグ2位の防御率1・91。「通説」ではジンクスの対象になるわけだが、「1年目だけ結果を残しても意味がない。これを続けていくのがプロだと思う。続けてられるように、やっていきたい」と言い切った。

150キロ超の直球を軸に、縦に曲がるカーブ、カットボール、チェンジアップでセ・リーグの打者を手玉に取った。来季はよりマークが厳しくなることは必至。右腕はオフに向けて「同じようだったら、また打たれると思う。何かひと工夫、ふた工夫できるようには考えている。練習しながら感覚をつかんでいきたい」と思いを巡らせている。持ち球の精度向上はもちろん、「他の球種もすぐじゃないですけど挑戦していけたら」と新球種にもチャレンジする構えだ。

森下は28日に地元テレビ局で開催された「ファン感謝デー」に初参加し、中村祐、坂倉とトークショーに出演した。シーズン終盤には最優秀防御率のタイトルが目前に迫った。ただ自身のシーズン最終登板後、中日大野雄が7回無失点と好投して防御率1・82でタイトルを決めた。9厘差をつけられたことについて「もう『無理だなあ』と思いました。(防御率)1点台がいいなと思っていたので、最後、投げたくないと思ってました」と本音を吐露する場面もあった。

来季を見据え、年内は完全ノースロー調整の予定。オフは「自然とトレーニングをこなしていけたら」と、ウエートトレーニングに比重を置き、練習を続けていく。飛躍の2年目へ、力を蓄える。【古財稜明】

 

◆広島森下1年目の歩み

6月21日 DeNA戦(横浜)でプロ初先発初登板。7回4安打無失点の好投も勝ち星つかず。

同28日 中日戦(ナゴヤドーム)で8回2/3を投げ3失点でプロ初勝利。

7月10日 コンディション不良で出場選手登録抹消。7月23日 1軍復帰。

8月14日 阪神戦(京セラドーム大阪)でプロ初完投初完封勝利。

10月24日 DeNA戦(横浜)で9回1失点(自責点0)で2度目の完投勝利で、球団では97年黒田博樹以来、セ・リーグ5球団から白星達成。

11月1日 中日戦(ナゴヤドーム)で8回無失点と好投し、球団新人では14年大瀬良以来の2桁勝利。規定投球回到達の新人で2桁勝利と防御率1点台は66年堀内垣夫(巨人)以来の快挙。

11月18日 10、11月度の「大樹生命月間MVP賞」を受賞。球団新人では98年の小林幹英(4月度)以来22年ぶり。