西武山川穂高内野手が新境地に飛び込む。13日、埼玉・所沢の球団事務所で契約交渉を行い、4000万円ダウンの1億7000万円でサイン。打撃フォームをシンプルにして臨んだシーズン。右足首のケガにも見舞われ、成績は打率2割0分5厘、24本塁打で3年連続本塁打王のタイトルを逃した。「試合で結果を出すためには、どうするかと言ったら集中するしかない。その集中力というか、邪念を払うという部分をもう少し意識しないといけない。打っていたらフォームを変えるわけないですし、打ちゃいいということを思いました」と、打席での集中力を課題に挙げた。

克服するために「武」の世界をのぞいてみる。野球のために、他分野への研究に合気道の本を読んでいたときだった。偶然、知り合った合気道の“師範”に弟子入りを願い出たという。「合気道の道場に行きます。野球はスポーツなんすけど、スポーツじゃない武の領域にいけるように。野球の勉強ですけど、本来の人間の体の動きというか、どうあるべきというか、そういうのをちょっと興味を持って勉強してやってみたい」と探求心は尽きない。

かつての大打者、王貞治、長嶋茂雄、落合博満らが、当時どういう練習をしていたのか、興味を抱き調べてみたという。「王さんを教えていた荒川(博)さんが合気道の有段者ということで、その指導で剣をかーんと振るのとか、素足で素振りするとか。落合さんも暗闇で素振りすると言っていましたし。あの人たちはどちらかと言うと『武』なんじゃないかと。野球の練習をスポーツとして練習しているんじゃなくて、武道の型のように」と、オフだからこそやれる取り組みを導入する。

来季、チームがリーグV奪還し日本一を勝ち取るためには、4番山川の復活が必要不可欠。あくまでも野球のために、新たな挑戦で出る。「1周回って過去こそが最新なんじゃないというところがあるんで。だから武人になれるように」と、畳の上に踏み入れる。【栗田成芳】