周東が盗塁王、石川が最多勝と勝率1位のタイトルを獲得した。2人とも初タイトルだが、周東は規定打席、石川は規定投球回に到達していない。勝率1位はパ・リーグが86年、セ・リーグは13年から13勝以上が条件となり、試合数が減った今季は10勝以上に変更された。打率と出塁率は規定打席未満でも獲得可能(野球規則9・22)で、現在のタイトルで規定が条件なのは防御率だけだ。とはいえ、規定へ到達せずに獲得した例は少なく、打率、安打、打点、出塁率、奪三振は過去にいない。盗塁王は11人目、最多勝は3人目、勝率1位は5人目となり、最多勝と勝率1位の2冠は石川が初。救援投手のタイトルを除くと、同一球団の野手と投手が同一年に獲得したのも初めてとなった。

50盗塁の周東は10月にプロ野球新記録の13試合連続盗塁をマークし、失敗が6度だけ。規定打席未満で50盗塁以上は51年土屋(国鉄)以来2人目で、成功率8割9分3厘は50盗塁以上では4番目に高かった。二盗成功時(48個)の出塁状況は単打29度、四球13度、内野ゴロで走者入り替わり5度、代走1度。周東の単打は67本だから、単打の43%が「二塁打」に。実際の二塁打は8本だったが、単打→二盗を加え「37二塁打」と言えるかもしれない。

石川は連勝が多い。今季は開幕6連勝で始まり、5連勝で閉幕。17年8月~18年4月に6連勝、18年8月~20年8月に11連勝、20年10~11月に5連勝と、まだ通算32勝なのに、5連勝以上が3度ある。連勝男の石川は通算勝率も高く、今季終了時の勝率が32勝12敗で7割2分7厘。ドラフト制後、通算32勝時の敗戦数は68年堀内(巨人)の5敗が最も少なく、12敗以下は8人しかいない。【伊藤友一】