阪神ドラフト7位の高寺望夢内野手(18=上田西)は、同世代の球児たちの思いを胸に入寮した。持参したのは「甲子園の土」が入ったキーホルダー。昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で春夏の甲子園大会が中止となったことを受け、阪神球団が全国の高校野球部の男女3年生全員に送ったものだ。球団広報を通じて「送っていただいてとてもうれしかった。励みになった。大事にしたいと思って持ってきました」とコメントした。矢野監督や選手らが手で土を集め、全国にプレゼントした約4万8700個のうちの1個。運命に導かれるようにしてこの日を迎えた。

高寺も昨年は「夢の舞台です」という聖地を目指して汗を流した。そんな中でコロナ禍に襲われ、高校球児であれば誰もが憧れる場所に挑戦すらできなかった。「高校野球の次のステージで、甲子園球場が本拠地であるタイガースに入団することができて、とても縁を感じました」。涙をのんだ同世代の高校球児で、唯一高寺だけが縁がつながった。「自分みたいになりたいと思ってもらえるように、夢や希望を与えられるように頑張っていきたい」。甲子園で野球ができる喜びを胸に、プロの舞台で輝いてみせる。

今季の新人選出で唯一の高卒。最も年下になるが「走攻守すべて、グラウンドに出たら先輩方に負けないように思い切ってプレーしたいです」と気合十分だ。昨年12月に行われた体力測定では、30メートル走とトップスピードでの10メートル走、垂直跳びの3種目でトップの数値をたたき出し、超高校級のポテンシャルを披露した。あとは野球で先輩たちに一泡吹かせるだけだ。【只松憲】