ポスティングシステムを申請し、メジャー移籍を目指した巨人菅野智之投手(31)が8日、残留を決めた。複数のメジャー球団と交渉し、日本時間8日午前7時の交渉期限直前まで熟考を重ねた中で決断。夢であるメジャー移籍へと心は揺れ動いたが、巨人のエースとしての矜持から信念は曲げず、1年契約で巨人で勝負する意向を固めた。東京五輪での金メダル、リーグ3連覇と初の日本一を目標に設定。今季中に海外FA権を取得する見込みで、シーズン後に再び夢への挑戦を自らの心に問い掛ける。

   ◇   ◇   ◇

1度は別れを覚悟した菅野の残留を、巨人は温かく受け入れた。夢のメジャー挑戦がかなわなかった心中を察したうえで、球団を通じて原監督が「監督としては最高の形になりました。今季、戦う上で坂本、菅野は中心選手です。先頭に立って、チームを引っ張ってもらいます」とコメントし、山口オーナーも「世界でコロナ禍が深刻化する中、悩み抜いた末に残留を決断してくれ、感謝します。チームとともに一層飛躍してもらえるよう、全力で支援していきます」。今季の契約は推定年俸6億5000万円からのアップは確実で、03、04年ペタジーニ(巨人)の同7億2000万円を上回る可能性もある。

巨人にとっては、これ以上ない“補強”になる。プロ通算8年間で2ケタ勝利が7度、52もの貯金をチームにもたらしてきた。抜群の安定感を誇る右腕が、今季も投手陣の屋台骨を支えることになる。

リーグ3連覇と日本一奪還を目指すシーズン開幕に向け、ベストなコンディションを作り上げる環境も整える。菅野は帰国後2週間の自主隔離期間を過ごすため、2月1日からの春季キャンプは、ベテランや外国人選手らが自主調整を認められているS班に合流の見込み。4年連続7度目の開幕投手が確実視されるが、昨季はコロナ禍で開幕が3カ月も遅れた中で開幕投手から13連勝のプロ野球記録を樹立した実績があるだけに、十分な調整期間があれば仕上がりに不安はない。

今オフ、野手ではDeNAからFA移籍の梶谷隆幸外野手(32)、メジャー196発のジャスティン・スモーク内野手(34=ジャイアンツFA)と米韓通算220発のエリック・テームズ内野手(34=ナショナルズFA)を補強した。エースの残留も決まり、頂点を目指す最強布陣が整った。【浜本卓也】