絶滅危惧種を守れ-。楽天牧田和久投手が第1回「サブマリンを守る会」の内幕を明かした。22日、仙台市内で自主トレを公開。自身と同じ下手投げのソフトバンク高橋礼から、2年連続の声かけを受け、同投法の西武与座を加えた3投手での合同トレを5日から10日間で初開催。「投げる角度、握り方、リリースの仕方が全く異なった」と発見を得た。

ニッチな“潜水観”が飛んだ。まずは体形、柔軟性の違い。「礼くんは正直柔らかくないが、ダイナミックで球が強い。身長があって手足が長いので遠心力を使えている。与座くんは自分と同じか少し小さめ。しなやかさ、柔らかさがあって、伸びしろがある」。

プレートを踏む位置も違う。牧田、与座は一塁側で高橋礼は三塁側。「三塁側は左打者の内角にかけて角度があっていいかもしれないけど、ボールを見られる時間が長い。(左打者に)近めの一塁側の方が見る時間、ボールの角度に有効的」。高橋礼には浮き上がるカーブを伝授し、自身は直球に似た軌道から縦に落ちるシンカーに挑戦。潜在的な伸びしろを掘り下げた。

日本が世界に誇るサブマリン投法も、現役では3投手とオリックスのドラフト4位中川颯投手(22=立大)の4人だけ。高校1年時、同期の本格派右腕へ対抗するために転向した牧田は高橋礼、与座へ「自分の代わりはいないんだという責任感を感じてやってほしい」と“伝承者”としての自覚を強調した。「生きる道として少しでも興味を持ってくれて、まねをしていく子どもたちが増えてくれれば」。日本随一の“したて”な男たちが、伝統をつなぐ。【桑原幹久】

◆メジャーのサブマリン 古くは1890年から22年間プレーしたサイ・ヤングが、アンダーハンドで投げていた。球速が衰えた後、優れたコントロールを生かしてオーバーハンド、スリークオーター、サイドアームなどあらゆる角度から投げており、時々使ったのがアンダーハンドだった。野球データサイト「ベースボールリファレンス」によると、ヤング以降これまでアンダーハンドとして活躍した投手は約60人と、希少な存在。近年では元楽天でダイヤモンドバックスなどで活躍した金炳賢(42)、タイガースなどで07年まで13年間プレーしたマイク・マイヤーズ(51)らがおり、現役ではダレン・オデイ(38=ブレーブスFA)がいる。