学びの場はグラウンドだけにとどまらない。佐賀・嬉野での合同自主トレを終えたロッテ安田尚憲内野手(21)が17日間を振り返った。「けっこう、温泉でお話しさせていただくことの方が多かったかもしれませんね」。

湯けむりの向こうに、大きな背中が見えた。安田は1月、ソフトバンク柳田悠岐外野手(32)らの自主トレに初めて参加した。「自分でも、やっぱり変わらないといけないなと思っていましたし、日本一の選手のもとでやらせてもらうと勉強になることがたくさんあると思ったので」。昨秋、ソフトバンクからロッテに移籍してきた福田秀を通じて弟子入りを志願した。

10年後の自分を投影させたい存在なのだろう。「体つきも全然違いましたし、ロングティー1つにしても飛距離もパワーもスイングスピードも、ぼくとは全然レベルが違って、衝撃に近いものがありました」。時に技術を教わりながら、精力的にこなしていった。

安田は昨季打率2割2分1厘、6本塁打、54打点。対する柳田は打率3割4分2厘、29本塁打、86打点。シーズンを通して出場したのは同じでも、数字の差は大きい。「去年出た成績が実力だと思うので、しっかり受け止めて…」とこのオフの多くを直球対策に関わるものにあてる。

グラウンドだったか、温泉だったか。こんな言葉をもらった。「3割かホームラン20本、どちらかをまずは達成しないと。今年はどっちかを達成しろよ」。若き柳田は“増えていくもの”として、本塁打を選んでいたという。「自分も安打、本塁打、四球…増えていくものを意識してやりたいなと思います」。のぼせない程度につかった美肌の湯は、やはり抜群の効能だった。【金子真仁】