近畿ドキドキ大激戦!! 第93回選抜高校野球大会(3月19日から13日間、甲子園)の出場32校(一般選考枠28校、21世紀枠4校)を決定する日本高野連の選考会が29日、初めてオンラインで開かれる。近畿地区は6枠のうち昨秋の近畿大会4強校までは順当で、残り2枠を巡って4校が横一線で並ぶ。近畿大会8強の天理(奈良)は28日に天理市内で練習。プロ注目の193センチ右腕、達孝太投手(2年)はどっしり構えて吉報を待つ。

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長身から高い角度で投げ下ろす。天理・達は今季の高校球界で目玉になりうる逸材だ。センバツ決定の前日。「選ばれたら冬にやってきたことを春に出す。選ばれなければ夏にやる。練習の取り組みはまったく変わりません」と言い切るが本音もにじむ。「だいぶドキドキします」。昨春もチームはセンバツ出場を決めながらコロナ禍で中止。全国の晴れ舞台を強く待ち望む。

昨秋は近畿Vの智弁学園を下して県大会を優勝。だが、近畿大会準々決勝で大阪桐蔭にコールド負けを喫した。先発の達は11失点。悔しさを味わえばこそ甲子園への思いは強い。「甲子園優勝が目標。150キロを試合の中で出せれば。去年、負けた大阪桐蔭に当たるまで負けられない。当たれば勝ちます」。最速は146キロ。出場が決まれば強敵に借りを返すつもりだ。

体格に恵まれ、プロから最も注目される存在の1人だろう。ひと冬、どれだけ成長したのか。オフは5球団ほどのスカウトが視察。「去年、おととしの秋、見たときよりは全然、体がしっかりしているし、迫力がある球を投げるようになってきた」との声もあった。

連投できるスタミナ強化が課題で、オフは上半身を鍛えた。「(米大リーグ・パドレスの)ダルビッシュ投手が上半身をやっているイメージで。自分にも必要かなと」。動画で憧れの投手を見て肉体強化し、昨秋から4キロ増の88キロだ。昨夏は甲子園交流試合で1回無失点2奪三振の聖地デビュー。「甲子園のマウンドは自分の中で一番投げやすかった」。申し子に成り上がれるか。最善を尽くして、朗報を待つ。【酒井俊作】

○…天理の中村良二監督(52)もエース達の成長を心待ちにする。かつては近鉄、阪神でプレーし、15年に同校監督に就任。達の長所を「試合を作れること。三振を取れる」と評した。昨秋近畿大会は連投だった準々決勝の大阪桐蔭戦で大敗。「100球を超えて球が甘くなってつかまった。球が高くなり、変化球のキレがなくなった」。課題は連投できる肉体強化だ。「連投できないと甲子園はないよ」と伝え、スケール感のある成長を促した。