日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

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沖縄は琉球寒緋桜が見ごろを迎えている。朝方から強い日差しが降り注ぎ、気温も軽く20度を超えた。「スポーツアイランド」をうたう沖縄は、まさにキャンプ日和の初日になった。

那覇を北上し、阪神キャンプ地・宜野座近くに寄った。遠くからうかがうだけで選手の姿まではとらえきれない。だがグラウンドからバットとボールがぶつかる“音”は伝わってきた。

うん。いい音だ。これは打ち損じたな。野球の経験はさほどないが、長年の取材でそのくらいはわかる。キャンプの有無が懸念されたことを思えば、“球音”が胸にしみる。

沖縄も、宮崎も独自の緊急事態宣言が解除されたわけではない。この日「新型コロナウイルス感染症対策本部定例会議」を受けて沖縄県庁で開かれた玉城デニー知事の記者会見に加わった。

県内の感染状況を説明した知事は「恐れていたことが起きている。県内の状況は予断を許さない」とし、緊急事態宣言の延長を2月4日に改めて協議する意向を示した。また3日に緊急事態宣言の対象地域から県民を含む渡航者で希望する者に空港内で実施できる「空港PCR検査プロジェクト那覇(NAPP)」の設置を明らかにするなど現地は緊迫している。

昨春の沖縄キャンプは約40万人を集客。りゅうぎん総合研究所によると121億6800万円の経済効果を生んだ。今キャンプは無観客のため県経済に与える影響は大きい。

県の文化観光スポーツ部スポーツ振興課は「アスリートを守る」「感染者を拡大しない」の2点を軸にNPB(日本野球機構)と話し合いながら、キャンプ地の各自治体に対応策の指針を説明してきた。

県関係者は「もしコロナ感染者が出た場合には、県民と同じように病院に入院できるような手はずは整えてある」という。いずれにしても厳戒態勢のなかでキャンプが続く。