プロ野球12球団が1日、一斉にキャンプインした。5年連続日本一を目指すソフトバンクは、新任の小久保裕紀ヘッドコーチ(49)が宮崎キャンプ初日から新打撃練習メニューを導入。フリー2カ所、ティー4カ所、ロングティー2カ所の計8カ所を休みなく回るサーキット方式でバットを振り続けた。現役時代に「練習の鬼」として知られた新ヘッドが熱き魂を注入する。

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無観客のグラウンドに「カン、カン」とバットがボールをたたく、乾いた音が延々と鳴り響いた。小久保ヘッドも自らティー打撃のトスを上げ、気になる選手には身ぶり手ぶりでアドバイスを送った。大砲候補のリチャードが汗をだらだらと流し、昨年のドラフト1位、佐藤直は手のマメをつぶして、顔をしかめながら振り込んだ。小久保流の打撃強化キャンプが幕を開けた。

小久保ヘッドは「バッティング練習の方法を変えました。新たなトライですね」と練習の流れを変更するアイデアを出した。フリー2カ所、ティー4カ所、ロングティー2カ所の計8カ所を、8人1組(もう1組は9人)で休みなく回るサーキット方式で、これまでより効率よくスイング数を増やす練習法だった。

例年のバッティング回りでは「フリー打撃」「ティー打撃」「守備」「走塁」「バント」で4人ずつほどの5組に分かれていた。フリー打撃では4人のうち2人に“待ち時間”があった。この日のメニューでは単純に打撃に割く時間が増えただけではなく、8カ所をグルグルと回り続け、休む間もなくバットを振った。小久保ヘッドは「その分、スイング量は増えましたね」と満足そうに振り返った。

若手野手は全体練習後も、室内練習場に移動してマシン打撃やティー打撃を続けた。小久保ヘッドに「あのパワーは楽しみ」と言わしめたリチャードは「自分のできることは出し切りました。今までに結構振り込んだときは調子よくなっていた。こういう時間を過ごせるのはありがたい。楽しみです」と目を輝かせた。

小久保ヘッドは現役時代、右の長距離砲として通算413本塁打を誇ったスラッガー。キャンプでは平成唯一の3冠王、松中信彦(現ロッテ臨時コーチ)と日が落ちて影が長くなるまで取り組むロングティーが名物の1つだった。その参謀が野手陣に課したノルマは「1日1000スイング」。リーグ連覇と5年連続日本一へ、野手強化に挑む。【山本大地】

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