マー君が日本のマウンドに帰ってきた。8年ぶりに楽天に復帰した田中将大投手(32)が20日、今季初実戦となる練習試合日本ハム戦に先発。

楽天では2666日ぶりの登板を2回4安打3失点で終えた。米国で会得した調整法や配球を実践し、最速は148キロ。高校時代からしのぎを削った1学年下の日本ハム中田に3ランを浴びたが「収穫しかない」と段階を踏んだ。

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変わらない。一塁線を前に帽子のつばに手をやり、頭を少し下げる。プレートの三塁側端に右手をそっと、添える。海の向こうでも続けた一連の流れを終え、田中将が2666日ぶりに日本のマウンドに立った。

冒頭、求めていた「ズレ」を覚えた。先頭の日本ハム松本剛に初球を投じた後、首をひねる。「ブルペンもゲームのマウンドも同じ感じですけど、ゲームでのエネルギーの使い方がある」。自然な力みに、各本拠地球場より軟らかい土。足元を気にするそぶりを見せる。1死一、二塁、中田にスライダーを左翼席へ運ばれた。でも、意に介さない。「しっかりと制球できていない。まだまだ調整段階という感じ。いろんなことを感じられたことが一番」。

米国で会得した術も試した。午前9時43分、球場入り。ほどなくしてサブグラウンドで準備にいそしむ投手陣を横目に、田中将は同11時頃、ストレッチエリアへ。再び裏へ下がり、メイングラウンドに姿を見せたのは試合開始46分前の午後0時14分。「日本時代はやってなかったですけど、向こうではそれが普通なので」。10分ほど体を温め、ブルペンで18球のクイックモーションからノーワインドアップで締め計30球。体力を不必要に消耗せず、ゲームに合わせた。

配球面にも術を用いた。1回1死一塁。ブルペン投球でも再三試投した「ストライクゾーン高め」を活用。野村を内角高め直球で捕飛に仕留め「狙ったところに投げられましたし、ああいうふうにアウト取れたら」。カーブ、スライダー、スプリットを試投。2回は3者凡退で締めた。

一夜明けの状態を見ながら、今月中にもう1試合の登板を見据える。「アメリカに渡ってから7年間はまだブルペンでしか投げてない時期。上出来ですよ。収穫しかないです」。実績が裏付ける確固たるスタイルを、着実にアップデートする。【桑原幹久】