広島の新外国人ケビン・クロン内野手(28=ダイヤモンドバックス)が待望の来日1号を放った。ヤクルトとのオープン戦(マツダスタジアム)に「5番一塁」で先発。4回2死一塁からドラフト1位木沢の低め直球を左中間スタンドへ突き刺した。実戦12試合目、36打席目で飛び出したアーチが決勝弾。投手陣も2試合連続の完封リレーで、投打かみ合って連勝を飾った。

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クロンが喜びをかみしめるように、ゆっくりと左足で本塁を踏んだ。4回2死一塁、カウント1-1からの3球目だった。木沢の148キロ低め直球を振り抜き、弾丸ライナーで左中間スタンドへ。報道陣からの祝福の声に「アリガトウゴザイマス」と笑った助っ人は、「しっかりボールを芯でたたけたので非常に満足。すごくうれしいです」と喜んだ。

春季キャンプから苦戦が続いていた。対外試合に限れば前日6日ヤクルト戦まで24打数2安打、打率0割8分3厘と振るわなかった。「思ったような結果が出ず、正直多少焦りと緊張を感じることはありました」。タイミングが合わず、打ち急いでいた部分があったといい、朝山、迎の両打撃コーチらの指導の下、丸まっていた背中を伸ばすよう修正。投手側に傾き気味だった上体を立て直すため、重心の意識を捕手側に置き、力強いスイングを取り戻した。

打撃練習ではロングティーをルーティンとして継続している。試合やフリー打撃で使用するバットよりも短いものを握り、しっかり下半身を使ってボールを芯で捉える目的で正面や斜めからトスしてもらう。この日の試合前も行った助っ人は「それが今日の本塁打につながったと、僕自身信じています」と胸を張った。

12試合目、36打席目で主軸候補から待望の1発が生まれ、佐々岡監督は「真面目に練習している中での1発。周りも安心するし、特に本人はホッとしているだろう。これをきっかけにして、気持ちも楽になるんじゃないかな」と胸をなで下ろした。開幕へ向け、クロンは「残された時間の中で自分の課題に取り組んでいきたい」と引き締めた。ここから上昇気流に乗っていきたい。【古財稜明】

◆ケビン・クロン 1993年2月17日生まれ、米カリフォルニア州出身。父が元メジャー選手、兄は現役メジャーという家族に育った。14年ドラフト14巡目でダイヤモンドバックスと契約。19年には3Aで82試合に出場し、38本塁打、105打点、打率3割3分1厘の好成績を残した。同年メジャー初出場。メジャー通算47試合、15安打、6本塁打、16打点、打率1割7分。今季推定年俸は8800万円。195センチ、115キロ。右投げ右打ち。

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